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まだ、覚えとる






「あつい〜!!」

「やばい、ほんまあつすぎるっ!!」


「こんな日は散歩するもんじゃないね」


「えぇ〜!毎週日曜は散歩の日て決めてるやん!」


「でももう行き尽くした感ない?」




「それはそやけどさぁ」


「あ、康二。…入る?」



商店街を歩いている最中、Aが笑いながら指さしたのは不動産屋さん。



「きっと冷房、涼しいよ」



ニヤニヤと笑って楽しそうな彼女を見ると、なんか悪くないと思えた。





「えぇ、俺間取りはこっちのが好みなんやけど」

「でも外観は今どきでお洒落が良くない?」

「んん、確かに」


「やっぱ、決め手は」
「「コンビニ?」」




そう言って目を合わせて笑えば、社員さんは「仲良いですね」と笑ってくれた。








あの時は、未来しかなかった。







「ほな開けるで?」

「開けゴマ!」


そう言って回したドアの鍵




「康二!窓!窓開けよ!」

「ここが今日から俺らの家なんやなぁ」




ダンボールだらけの部屋
お揃いのマグカップで飲んだコーヒー




変わってく部屋の空気

晴れた空

暖色の世界






まだ、覚えとる







「なんで、毎回康二は、!」

「だから言うとるやん」


「違うってそうじゃない!そうじゃないの、」


「じゃあなんなん??Aが何言いたいんか分からんのやけど、」




大きな喧嘩だった。
お互い引くに引けなくて、徐々に会話が無くなって。

はよ帰りたい
そう思っとったこの家が憂鬱に感じた時もあった。



でも、俺は信じとったん



またいつか、

いつか、元に戻れると






「もうやめませんか」



そう言われるまでは__








全部情けなくなって、笑いとばすこともできへんくて


所詮人生はドラマとちゃう



俯瞰するしか、心を守る手段がなかった










残された世界は、温もりだけが残る部屋。


彼女が準備をするダンボールは、あの頃と全く違って見えて。




別れたくない


でも、そうじゃない

Aのために、きっと別れるんが正解で


分かってるけど、でも、






「きっとこれでいい」






大きな部屋に独り、声が反響した。






Aの最後のダンボール


彼女は明日これを取りにきて、全てが終わる。







「っ、大好きやったよ、」

















向井康二 / Gum tape


_____

向井は責任持って私が拾って養います()
すごく好きな神曲。
きっと彼らには同棲の中で“8am”の世界線もあったはず

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作者名:午前12:00 | 作成日時:2022年10月2日 23時

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