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同期のA。
仕事ができる、で有名だった。
当初は忙しかったこともあってただそれだけ。
それだけだった。
だけど同じ部署になって、飲み会などで何度か話していくうちに面白い人だと感じた。
ユーモアと優しさ、その配分が心地よくて気持ちいい。
仲良くなり始めて、そばにいる不自然さが消えた頃。
康二がやってきた。
俺の紹介。
康二に向いているシゴトだと思ったし、Aと康二がそんな関係になるとは夢にも思ってなかった。
Aが康二の教育係に任命されてAの元へ駆け寄った時、気づいた。
あぁ、＿＿＿＿、
どんどん距離を詰めていく康二に対して、俺は圧倒的不利で。
｢照兄！照兄！！結城さんって、彼氏おるか知っとる？｣
｢Aさんとご飯行ったんやけどな、も〜それがめっちゃ可愛くて！｣
｢俺、ほんま初めて人好きになったねん｣
｢やばい、デートさそってもた｣
康二から相談や報告を受ける度、
ずっと前から知り合いだったはずなのに、何故か置いていかれている感覚に陥った。
「照兄！！俺、Aさんと付き合った！！！！」
そんな彼の言葉にも、ちゃんと返せていたか分からない。
｢よかったけど、それでシゴトに支障きたすなよ｣
獲るな
奪うな
子供の頃、大事なおもちゃが持っていかれていく感覚が腹の底にあった。
弟のように可愛がっていた。
大事な相棒で、大切な仲間。
あぁ、なのにごめん。
この感情が抑えられねぇの＿＿＿＿
俺を好きになってよ
康二じゃなくて俺を
俺以外にむく笑顔なんて無くていいし
俺以外に見せる仕草とかいらない
康二がAの話をする度に、相反する思いが増殖していった
あぁ、そっか
奪えばいいか
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作者名：午前12:00 | 作成日時：2022年8月26日 21時
