この努力は ページ4
「たかがひとつの競技で何か未来に残る出来事じゃないよ。リレーも部活も」
一点、ただ山本を見る。
「報われなかった時、長く、コツコツ頑張ったこの努力も辛さも誰のものになるんだろうって私思うんだよね。残るのって虚しさと泥臭く必死こいてるブスな顔だけじゃん？」
情が少し乗ってしまった。
いや冷静になれば体育祭ごときにそんなスケールを持ち込むまのでもない。
「頑張るのはカッコイイだろ。そんな一々後先考えたことないわ。」
「え」
秒で、カッコイイの一単語で跳ね返された。面食らった。
「んぁー！でも考えとか人それぞれだけどな！」
「山本ってピュアだねぇ」
「え"」
こんな黒いもちょもちょに面食らう日が来るとは思いもしなかった。
「とりあえずお互いリレーは頑張ろうぜ」
「うん。頑張ろ」
なんかちょっと山本がかっこよく見えた。
「ってかヤバい！部活もうそろ始まっちまう！あ"ー怒られる！俺急ぐわ！」
「何部だっけ？私も途中までいっしょだから先輩に説明するよ」
「バレー！すまん頼む…」
両手をあわせてお願いするのすごいデジャヴ感あるな…た感じつつ少し小走りで体育館に向う。リレーの登録用紙は置いてきてしまった。
「山本ー！遅せぇ！」
「すんませんっ！急いで準備します！」
高身長の明らかに年上だろう先輩に怒鳴られてた。
私が手を焼かせただけで山本は悪くないって言わなきゃいけない。
「えっと、すいません山本くんとリレーの登録書類制作してて…私が手こずらせたので掃除とか雑用やるんで…！」
どうせ今帰っても暇だし。
「こんな可愛い子にｯ…！？そうだなあ、俺も2年だから変に指示は出せないし、1年のベンチ…あー…あの黄色いボトル洗ったりしか洗ってくれたらいいから。」
「すいません、やります！」
こんなので山本が叱られるのが免除されるなら安いものだ。
久しぶりに人のために動いた気がした。少し、ほんの少し心から。
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作者名：ひいな | 作成日時：2024年2月23日 2時
