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高みの見物の猫 ページ1

「Aッ!ごめん教科書かして!次小テ!」
「えまた〜?笑自販機のミルクティー奢ってね」
「必ずや〜…」

後ろのドアで両手を合わせて焦ってる友達に教科書とプリントファイルをケラケラとしながら渡す。

「A自販機で奢るから購買ついでに行こーよー」
「えマジ!?行く行く!」

バレない程度に少し折ったスカートを少しパタパタして折財布をもって階段を走る。

「今日化粧めちゃくちゃ濃かったかも。これ指導くらうかな」
「大丈夫でしょ、カラコンだけ少し薄いのにしたら?」

トイレの鏡で一生懸命コームで前髪を整えてノーズシャドウやアイパレットで化粧を直す。

「今日どれ踊る?これ流行りだからやりたいんだよね」
「パラパラ古くない?笑てか駅前とか人見てるって!笑やば」

こんな感じ、こんなどこにでもいる女子高校生だ。
部活には入っているが顧問と少し揉めてもう部活はそれっきり。

馬鹿みたいだ。部活を頑張るとか、何かを全力でやるって感じが、
別に頑張っても将来「頑張りました」で済むしプロにならない限り練習量より報われることは無い。

「Aは部活戻らないの?あんな1年ん時熱中してたじゃん」
「いやー…だから顧問ともめた。ほら物理のセンセーのさ…」
「あーね笑てか物理とってるし気まずそー笑」

部活なんて汗くさくて地味で苦しい事するよりプリ撮ってインスタあげてスクバにぬいぐるみジャラジャラつけてた方が満喫してる感じする。

あくまで私が感じてるだけだけども。

「あ、私もうそろ帰るわ。稽古あるし」
「部活いかなくえもそーゆーのは行くんじゃん!笑あしたワーク返すわー」
「はーい」






「お久しぶりです。」
「…んでAはとるのか、段位」
「いや、とらないです、ていうかやめます。」
「事前に話す機会も伺わずにか。」

小さい時から剣道をしていた。
かっこいい。夢中になる選手に目が惹かれた。

それも過去の話だ。今はアホくさい。

「勉学と両立が厳しいです。夏頃に身を引かせて頂きます。」
「好きにしろ。稽古にも来ないやつなんか出て行ってしまえ。」

師範も薄々察しがついていたのだろう。申し訳なさも他の生徒の視線も痛い。

「…また後日荷物は片付けさせて頂きます。」

小学生の剣友会から始めていた剣道、約9年の幕はあっけなく、すぐ終わった。

ゴテゴテのメガホン→



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作者名:ひいな | 作成日時:2024年2月23日 2時

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