宣戦布告２１ ページ22
《A side》
────オークション掃討戦から１ヶ月。
私は未だ旧多一等のお見舞いに行く勇気も出ないまま、鬱々とした日々を過ごしていた。
『…はぁ』
六月「A…大丈夫？」
『うん、大丈夫…じゃない。ごめん嘘ついた』
六月「(最近ずっと元気ないなぁ)」
作戦後、私は駆逐数の公表があって以降《単独で複数の喰種を駆逐した有能な新入り》として名が知れてしまう。
伊東「流石だね〜Aちゃん！有馬特等の娘だけある！」
田中丸「ンン、素晴らしいね有馬ガール…」
だけどちっとも嬉しくない。
私はヘマをした。
その挙句、上官に大怪我までさせた。
手柄に目が眩み、馬鹿みたいに出しゃばったせいで。
各捜査官の手柄が記載された書類には旧多一等が倒した喰種まで《有馬A三等により駆逐》と記されており、読み返す度に気が重い。
あれは私の手柄なんかじゃない。
旧多一等が倒してくれたんだ。
なのに訂正しようと上層部に掛け合っても《上官に遠慮しなくていい》《有馬の娘だからと謙遜するな》等々幾度と無くけんもほろろに追い返されてしまった。
そんな状態でノコノコと旧多一等のお見舞いになんて行ける訳が無い。
何度も行こうとはした。でも病室の前まで来るとどうにも尻込みしてしまい、結局トンボ帰りした回数は数え切れなかった。
怒ってるよね、旧多一等。
私なんて大嫌いだろうし、顔も見たくないだろう。
こんな無能な部下なんて要らないと言われてもおかしくない。
有馬さんには「気負う必要は無い」と言われたものの、どだい無理な話。
そんな、意気消沈と自己嫌悪が交互に訪れては私のメンタルを削り取って行くような日々の中。
不運とは続くものだ。
有馬「A、一週間後…局長主催の【舞踏会】があるんだけど」
『舞踏会…？』
有馬「たまにあるんだ、和修家の社交会みたいな感じで。捜査官は基本的に駆り出されるから…｣
有馬「Aも適当なドレス、見繕っておいて」
『…出なきゃ駄目？』
有馬「うん。気が乗らないのは分かる」
『私…ダンス、経験無いんだけど』
有馬「適当にやり過ごしてくれれば良いから」
『…』
こんなに気乗りしないダンスの誘いがこの世に存在して良いのだろうか。
ダンスのダの字も知らないにも関わらず、私は捜査官だからという理由だけで、上層部が開催する舞踏会に参加させられることに相成ってしまったのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 135人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京喰種」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう！(笑)閲読有難うございます〜！ (2019年1月23日 19時) (
レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ﾊｧﾊｧ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです！尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です！ (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます！2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みきざわ | 作成日時：2018年12月16日 18時
