18話 ページ21
貴方サイド
ついに、今日が来た。清々しい朝。なんて爽やかな朝、なんて忌々しいほど晴れやかな朝なんだろうか。
昨日花京院となんの話をしただろうか。思い出せない。記憶に残らないほどくだらない話をしたのかそれとも思い出せないほど(思い出したくないほど)悲しい話をしたのか…。
いや、極端に分けすぎだろうか。昔からそうだ。極端すぎるのが私の良くないところだった。
しかし別れの朝にしてはコンディションが出来ていない気がする。
花「…起きたのかい、A。おはよう。」
貴「おはよう、花京院。」
朝起きて花京院に挨拶はできた。夜寝ている間に誰かに殺されるということは回避できた。こんな小さなことでも、今の私からしたら大切なことなのだろう。まず無事に朝を迎えることができたことを喜ぶべきだろうか。
花「皆のところへ行こうか。」
貴「うん。」
花京院とはこれでお別れだ。承太郎ともジョセフさんとも、アヴドゥルさんとも、そしてホリィさんともお別れである。
ホリィさんには、たいへんお世話になった。何か一つでもお礼をしたいが、私に何ができるだろうか。
貴「憂鬱だわ…。」
花「…。いつまでもそうしぼんでいてはいけないな。それはせめて最後まで取っておくんだ。」
貴「うんうん、わかってるわ。けれどもね、花京院。貴方私の気持ちを考えてみてよ。」
たしかにわかるけど、少しやりづらいな。だって君がそんなにしおれていたら、僕まで泣いてしまいそうだよ。
花京院がそういったとき、
「やつはエジプトにいるッ!それもアスワン付近と限定されたぞ‼」
エジプト⁈今アヴドゥルさん、エジプトって言った?
エジプトにだけは行ってはいけないわ、エジプトにだけは…。
花「いつ出発する?わたしも同行する。」
承「花京院。」
リビングにはわたし達が最後に来たようで未だに状況が飲み込めていない。
花「Aは…どうする、君も行くかい?」
ああ、DIO。わたし無事に貴方の元へ帰れるかしら。
貴「花京院が行くなら、わたしも行くわ。」
もし、わたしに力があったなら。どれほどよかったか。
花「わたしも脳に肉の芽を埋め込まれたのは三ヶ月前!家族とエジプトナイルを旅行している時DIOに出会った。ヤツはなぜかエジプトから動きたくないらしい。」
皆と別れるよりも辛く苦しいことが起こりそうだ。
承「同行するだと?なぜお前が?」
花「…お前のおかげで目が覚めた、ただそれだけさ。」
…覚めないで欲しかった。
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好桜(プロフ) - ツティスさん、ありがとうございます!すごく嬉しいです!精一杯頑張ります! (2018年3月17日 21時) (レス) id: 50d64b52ee (このIDを非表示/違反報告)
ツティス(プロフ) - 本文を見て、一目惚れしてしまいました。文字数制限のため多く語れなくて残念です。陰ながら応援させていただきます! (2018年3月17日 19時) (レス) id: e0021f590d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:短冊団子 | 作成日時:2018年3月13日 23時