11話 ページ14
貴「まぁ、とりあえず簡単に話すわね。
今から六年前に私はDIOにあったの。あれは何月のことだったかしら、懐かしいわ。
あの日は父と母の結婚記念日だったから、私は二人に渡す花束を…薔薇を摘むために森に行ったの。
いや、別に森でDIOにあったんじゃないわよ。たまたまその日は花屋さんがお休みだったからで…。
ちゃんと無事に家に帰ったわ。
で、
近くにある花屋さんがそこしか知らなかったから、仕方なく森に行ったのよ。
私はたしか、赤い薔薇を10本、白い薔薇を1本入れた花束を作ったの。その時は私が11歳だったからね。11本の薔薇の花束よ、素敵でしょう。
薔薇は多い方が好きだし、綺麗だと思ったけどあまり取りすぎてはいけないと思って。何本にしようか迷ってしまってね…。
…なんでだったかしら、その日は帰るのが遅くなってしまったの。森で迷子になったんじゃないけれど、なぜか家に着いたのがひどく遅い時間だった。
森も家の近くだったし、薔薇が咲いていた場所もそんなに奥深いところではなかったのに。
まぁとにかく、遅くなりすぎたからきっと怒られるわと思いながら家に帰ったの。
けれどもね、誰も怒らなかったのよ。しかもあんな時間だったのに、家は真っ暗で明かりひとつついていなかった…。
その時におかしいって気付けばよかったのね。
私は母を探すために部屋を探しまわったわ。
リビング、キッチン、納戸、お風呂場、母の部屋、父の部屋。もちろん私の部屋も。
どこにも母はいなかった。その部屋を探してる間父にも会わなかった。
私はあまりにも慌てすぎて妙なことに電気をつけずに部屋の中を探しまわっていたの。まぁ月の明かりがあるし窓多いから。
もう一周しようかと思った時に、書庫の中を探していないことを思い出してね。
でもね、私その時は母に書庫には入ってはいけないと言われていて、探そうかどうか迷ったの。
だって入ったことがわかったらきっと怒られるもの。
でも入らないといけない気がしてしまってね、私、行ったのよ。
そしたら、ひどいことに…
母は書庫にいたわ。
けれどね、母は私に何も言わなかった。
私は母に謝ったわ。家に帰るのが遅くなってしまったこと、勝手に書庫に入ったこと…だって何も言わないからきっとそれほど怒ってるんだと思って…。
でも母は違った。怒ってなんかいなかった。
母はね、死んでいたの。
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好桜(プロフ) - ツティスさん、ありがとうございます!すごく嬉しいです!精一杯頑張ります! (2018年3月17日 21時) (レス) id: 50d64b52ee (このIDを非表示/違反報告)
ツティス(プロフ) - 本文を見て、一目惚れしてしまいました。文字数制限のため多く語れなくて残念です。陰ながら応援させていただきます! (2018年3月17日 19時) (レス) id: e0021f590d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:短冊団子 | 作成日時:2018年3月13日 23時