56% ページ28
あの日から1週間
私たちは休む時間もなく毎日撮影の嵐だった。
雑誌のインタビューはもちろん
CDにつくブックレットの撮影や、
発売を記念して 行われる数々のイベントの写真
MVだって、タイトル曲無限大 以外にも
多くの曲があった。
純喜くんと出かけられたあの日は
本当に奇跡に近いんだなあってしみじみ思う。
そんな彼は今 メイクされながら爆睡中…
というかメンバー全員だと思う。
今ぐらいしか休む時間が無い程に忙しいんだろう。
だからここ最近は純喜くんとも拓実くんとも
まともに話せていない。
寂しいなあって思いつつ、でも仕方の無いこと。
「純喜くん、おきて。おわったよ。」
純「…うわ、俺また寝てた？」
「うん、よく寝れた？」
純「…いや、うん、ごめんほんま…」
申し訳なさそうに謝りながら
目を擦ろうとするから 急いで手を抑えた。
「……だめ、です」
純「……はい、すみません」
メイク以外で久しぶりに彼に触れたなあ、なんて
気持ち悪いことを考えながら 手を離す。
「がんばってね、」
そう言っていつも通りソファーで寝ている
拓実くんの所へ行こうとすると
手首を掴まれて、ぐいっと引き寄せられた。
「っ…なに？」
純「ちょっと顔見せて」
「か、かお？やだっ」
純「ええから」
そう言って無言で純喜くんに見つめられる
謎の時間。どんどん顔が熱くなる。
純「あー出た、顔赤いと分からへんくなるやん」
「…なにがっ？」
ここ、と目の下をトントンとされた。
純「メイクで隠してんやろうけど、クマあるんちゃん
Aこそ、ちゃんと寝てないやろ？」
じっと顔を見つめたのはそれか…
「みんなよりは、寝れてるよ」
純「それじゃあかんねん」
「大丈夫」
純「あかん、ご飯は？食べてる？」
「食べてるよ、ふとったもん」
純「いや痩せてるやろ、嘘つくな」
も〜この人、ほんと
拓「ヌナのお母さんやん」
………あれ、いつの間に。
気付けば眠りから覚めていた拓実くんが
私の後ろに立っていた。
純「母さんちゃうわ」
拓「いや今の会話はどう考えてもお母さん」
「拓実くん、じぶんでおきたの？すごいね」
拓「えへへ」
純「えへへちゃうわ、Aも拓実に態度変わりすぎ」
景「君たちっていつも面白いよね、会話」
純「景瑚まで入ってくんなよ」
久しぶりにみんなで話して、笑いあった。
この時間がいつまでも続けばいいのになあ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 617人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナビ | 作成日時：2021年9月10日 18時
