鬼にして鬼にあらず ページ49
竈門くんと宇髄くんは毒の鎌の攻撃を受けてもある程度は耐性ができている。
とはいえ強力な毒は効くようで目元がやつれていたり息切れを起こしていた。
それでも僕の見た未来より何倍もマシだ。
比べて僕はどうだろうか。
鬼の時ならすぐ解毒できるのだろうが生憎今の体は怪我は治らないし毒も解毒できない。
しかし死なない。
なぜなら根は鬼だからだ。
体内中の血を吐いて、目は充血しきっていて、呼吸が乱れる。
あの時だ。
陸の兄を引き摺り出したあの時。
血が舞った、僕の血が。
鎌に切られたばっかりに。
きっと嘴平くんや我妻くんは察知していたんだろうね、何かが危ないということに。
野生の勘や体内の音という僕ですらわからないものをも察知できるのだから後輩といえど侮れない。
ヒュゥという先程の竈門くんのような呼吸音のまま、刀を杖代わりにして立ち上がる。
肺いっぱいに息を吸うと血が喉の奥から這い上がって来ようとする。
鼻での息を止め次は口でお腹へと空気を送り血を体内へと押し込む。
気配に気がついたのか宇髄くんは竈門くんを小脇に抱え上に飛びのいてくれた。
陸がゆっくりとこちらを向く。
あの2人が妹の首を切るその時まで、僕はできるだけの時間を稼ぐ。
少しでも宇髄くん達の足しになれば、僕はそれでいい。
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作者名:重刄 | 作成日時:2020年10月24日 12時