鬼にして鬼にあらず ページ38
早速3人に宇髄くんの待つ蝶屋敷へ下山させ、僕は同じタイミングだけど速さの差で一足先に蝶屋敷へときていた。
鬼にならなくても柱なら出るスピードだ。
僕にこの力は不要だよ全く。
「しのぶちゃん。お話があるんだ」
可愛らしい笑みを浮かべ歩み寄ってくるしのぶちゃんを連れ出し、どこか2人で話ができる場所へと連れていってもらうと、ついた先は団地間ほどの小さな個室。
ぴしゃりと障子をしめ、畳だけの床に正座で座り向かい合う。
「しのぶちゃんは毒を使うよね」
「ええ、そうですよ。今更じゃないですか。どうかしました?」
こてんと首を傾げる。
問いに頷くと真剣な表情になった。
「まさかとは思いますが死にたいと」
「まだ死ねない。命は循環するものだけど、可愛い僕の太陽たちより先には死ねない」
最後を看取って死ぬなんて言い方だけど、最低鬼の始祖を倒してから、という本心は言えなかった。
「宇髄くんが相手にする上弦の陸は毒を使うんだ」
「毒の耐性をつけたいのですか?なら宇髄さんはもうついていらっしゃるじゃないです……まさか竈門くんたちですか?」
「半分正解だね。宇髄くんでもきついくらいなんだよその毒」
まあ、と口を覆う。
そしてニヤリと笑う。
「彼らの命を守りたいと思うことは前提として、その次に鬼に
私情が入るなんてはしたないと自虐した。
そんなことはないと思うけどなあ。
怒りだって立派な原動力だよ。
冷静さを欠けば命取りだけどさ。
協力しますと笑った口元とは対照的に殺意のある気を感じとり、背筋を伸ばしちゃったのは内緒ね。
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作者名:重刄 | 作成日時:2020年10月24日 12時