お砂糖お爺ちゃんとお塩SUGA

やだ ページ19

がちゃ

不意に、練習室の扉が開かれる


「あ、やっとみつけた」


ユウ

名前を呼んだ男性社員

呼び捨てだ

なんか用があったんですか、とナムジュンが心配そうに男性社員を見やる

ここでいつもなら引き止めて悪いことをしたなと思うのだが、今は違う

多分俺だけだけど、この人呼び捨てだ、ってそこに注目点を置いた

呼び捨て

俺は心の中では呼び捨てだけど、実際呼んだ事がない

さん付けはもちろん、それどころか苗字すら呼んでいない

呼んだ事がない

ユウさん、ソンさん、ユウちゃん、ソン、ユウ

どれも、呼んだ事がない

呼びたいとはおもうんだけど、呼ぼうとすると思うように口が動かない

うちのメンバー全員ユウさんと呼んでいて、俺もそれに合わせようと思ったんだけど、やっぱり口が動かない

心の中で何回も呼んだその名前を、口にできないんだ

それを、あの男性社員は


「ユウ、これってそうなの？」

「だと思いますよ」


普通に名前で呼んでる

しかも呼び捨て

それに、ユウも普通に返してる

あそこに立っているのが俺だったら、ユウはどうしたんだろう

男性社員より笑ってくれる？

それとも引いちゃう？

呼び捨てをされてるのを見ただけで、ここまで弱くなるものなのか

俺って、こんなやつだったっけ

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