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「A〜」
気配がしたと思ったら、後ろからギューっと締め付けられる。
「いだいっ…」
「今日も可愛いな」
「どもっ…」
スキをついて腕の中から抜け出す。
リリーさんはいつもこんな調子。
「出番いつなん？」
「3番目でーす」
「俺らが終わるまで待っとってな？」
「なんでなんすか」
「チャージしたいからに決まっとるやん」
「わたしで？」
「おん。」
当たり前やん、て顔でわたしを見下ろす。
顔だけはいいのに。
「待ってるかもしらんです」
「おっしゃ、頑張るで」
ここが楽屋であるにも関わらず叫ぶリリーさん。
ほら、モリシさん耳塞いでますて。
わたしらのコンビ「某人間」は毎回出番が早い。
相方のセン(千草の千でセン)は遅刻グセが酷い。
そろそろ、しばかんとあかんのよ。
「ほら、もうそろそろ開演ですよ」
盛「あれ、相方おらんよ」
「あと10秒す。9、8…3、2、1」
セ「おまた〜」
「ほんとや」
「遅いねん！もう始まるで？」
セ「ごめんごめん」
そんなわたしらの様子を見て笑う見取り図兄さん。
笑顔だけは男前なんすよ、おふたりさん。
あとはタバコと女遊び辞めたらええですやん。
「わたしらも頑張るで」
セ「おん」
「れっつごー！」
「あーA待って！」
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作者名：ねりね | 作成日時：2021年10月10日 23時
