【ツイステ】茨の谷の王子様 (ページ30)

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Episode.30 ページ30

【マレウスside】

＜ディアソムニア寮寮長執務室＞

コンコンッ

ガチャ

ネ「マレウス様、そちらにお座りください」

ネ「少々お待ちください。
この作業をどうしても終わらせたいので…」

ネイサンは複数の書類に魔法を使って
同時にサインをしたり、訂正を入れたりしていた。

マ「…随分と面白いユニーク魔法だな」

ネ「僕のユニーク魔法は、
複数のものを同時に見ることができるんです」

ネ「今はこの書類を読んでいるように見えますが、
実は他の書類も同時読んでいて、
それらを頭の中で整理してチェックしているんです」

ネ「試験勉強の時やこういう事務作業の時は
すごく便利なんですよ♪」

マ「………寮長の座、本当に僕に譲るのか？」

ネ「えぇ」

マ「夢だったのだろう？寮長になることが」

ネ「…リリア様から聞いたのですか？」

マ「あぁ」

ネ「……………」

ネイサンは作業している手を止めた。

ネ「確かに僕は入学した時から
いつか寮長になりたいと思っておりました。
尊敬している父もここの寮長をしていたので」

ネ「寮長に相応しい人間となるために
成績は常に上位をキープしてきたし、
人脈作りも頑張った」

ネ「前寮長から指名して頂いた時は
本当に嬉しかったんです」

ネ「でも…
入学式のあと、談話室で開いた新入生歓迎会で
寮生と談笑されているマレウス様を見て、
"寮長に相応しいのは彼だ"とその時思ったのです」

マ「何故だ？」

ネ「寮長はみんなの憧れの存在です。
マレウス様が寮長を務められた方が、
寮生のみんなも嬉しいんじゃないかなと」

ネイサンは笑顔でそう言った。

新入生歓迎会の時、
ネイサンは会の進行をやりつつ、
新入生一人一人と挨拶を交わしていた。

緊張している新入生に対しては優しく声をかけ、
テンションの高い新入生には
注意をしつつ、一緒に盛り上がっていた。

僕は寮生と分け隔てなく接することの出来る彼が
とても羨ましかった。

ネ「明日からは一般生徒として
のんびり過ごしていきたいと思っております」

マ「ネイサン」

ネ「？」

マ「たまには僕の相談相手になってくれ」

ネイサンは驚いた顔をしていた。

ネ「僕なんかでよろしいのでしょうか？」

マ「リリアに相談しづらいこともあるしな」

ネ「なるほど笑」

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その日の夜、
僕はネイサンの部屋に遊びに行き、
いろいろな話をした。

この時、
僕は初めて"夜更かし"というものを経験した。