Episode.18 ページ18
【マレウスside】
＜茨の魔女の城 フラワーガーデン＞
マ「……………」
ア「マレウス、どうした？」
マ「………すまない。
少し昔のことを思い出していた」
マ「アンディ。
僕がここによく来るようになったのは、
いつ頃か覚えているか？」
ア「お前と初めて会った日から、
ちょうど1週間くらい経ったあたりじゃないか？」
ア「お前、家庭教師が変わってから、
休み時間が増えて、自由な時間もできたって、
当時は大喜びしてたぞ」
新しく僕の家庭教師になったのが、ヴェラだった。
ヴェラを初めて見た時、
こんな綺麗な人が僕の家庭教師になるんだって、
大はしゃぎしたのを覚えてる。
でも、家庭教師の変更は凄く急だった。
ある日、いきなり女王執務室に呼び出させて、
ビクビクしながらいくと、
母上が「今日からこの人が貴方の家庭教師よ」と
ヴェラのことを僕に紹介した。
どうやら前の家庭教師が僕を虐めていたことを
"誰かが"母上に告げ口したらしい。
前の家庭教師は茨の谷を永久追放されたと、
後々ヴェラから聞かされた。
ア「そう言えば、ヴェラが既婚者だって話した時、
少し落ち込んでいたよな？マレウス」
マ「…うるさい」
ア「…昔話はこのへんにしておこう。
今日は何しにここへ来たんだ？マレウス」
マ「アンディ、例の"雪の女王"から頂いた書物は
今どこにあるのか知ってるか？」
ア「原本は王立図書館の奥で厳重に保管されている」
ア「私が現代語に翻訳したものなら手元にあるぞ」
マ「少しの間、借りることはできるか？」
ア「まぁ、いいだろう。
お前も"北の大地"について知っておいた方がいい」
アンディはそう言うと、
部屋の奥から施錠された古い箱を取り出してきた。
ア「……………」
アンディが呪文らしきものを唱えると、鍵が外れた。
ア「お前だったら1週間もあれば読み終わるだろう」
マ「ありがとう、読み終わったらすぐに返しに来る」
僕はアンディから本を受け取り、
フラワーガーデンをあとにした。
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作者名：ひとみ | 作成日時：2020年6月18日 9時
