【歌い手】そんなの俺は認めない【そらる】

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「ってことで手始めに連絡先交換な」

『…ああ、はい』


なんかもうどうでも良くなってきた。
半ば投げやりな気持ちでLIMEのふるふるで交換する。
新しい友達に追加された"一ノ瀬彼方"は昔よく見ていた名前。

当の本人を見れば満足そうに笑ってるし。意味わからん。


『とりあえずこれで満足かね一ノ瀬』

「なんでまた名字…まぁ今日の所は」

『明日の所は？』

「一緒に出掛ける？」

『だが断る』


こんな風に、友達の延長線上みたいな会話も久しぶりだ。楽しいか楽しくないかで聞かれると、残念なことに前者なのだ


「んまぁ出掛けるのは冗談だとしても、連絡はしてもいいでしょ」

『それくらいなら、別に…』

「じゃあ毎日する」

『やっぱやめよう』

「やだ」


「せっかくまた会えたのに毎日連絡できないとか我慢できない」なんて、なんの我慢だかは聞かなかった。
けど、寂しがりな所とか多少嫉妬するところとか、表情に出ないだけで一ノ瀬は変わってない。
それは少し安心した。


『とりあえず私メイトに戻っていい？買いたいのあるから』

「俺も戻るから一緒に行こ」

『え、別にだいじょ』

「一緒に、行こ？」

『……ういっす』


表向きは笑顔だが、コイツの腹のなかは絶対に真っ黒だと、私は信じて疑わない。

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