ෆ ページ8
.
のんびり散歩をしていたらいつの間にか商談の時間が近づいてきた。裳を少し持ち上げて自分の部屋へと急ぐ。化粧直しをして髪もいつものようにまとめなければ。
「やばーい……急げ急げ」
里樹さまのところには行けなかったな、でも怖がられてる感あるからまあどっちにしろ良いのだろうか。その分明日行こうかな?そんなことを考えながら部屋に向かっているAは通り過ぎた藤色の髪色に目もくれなかった。
ෆෆෆ
駆け足で向かってくる見慣れた顔。ぶつぶつと何か呟いている。そういえばそろそろ商談の時間か、だから駆け足で。底が厚い靴でパタパタと走るのは自分には到底無理だな、と思いつつすれ違う白の髪を持つ女を見た。
ん?何かが違う。思わず振り返ってAを見るとゆらゆらと揺れる髪。それは高いところで結ばれていて、結び目に簪が挿さっていた。
…綺麗だ、そう思うと周りが煩くなった。声に出ていたらしく周りを見ると顔が赤くなっている女官と口をあんぐりさせた宦官。流石にここに留まるのは居た堪れないのでまた歩き出す。
いつもより、好きかもしれない。歳相応に見えるというか、なんというか。髪型を変えるとがらりと印象も変わるものだな。
ただ、髪の色に負けない程白いうなじを惜しげも無く晒しているのは少しだけ気に食わない。白く柔い肌に歯を突き立ててそのままかぷりと噛みついて歯形を付けたならば、彼女はどんな反応をするのだろうか。思いっ切り平手打ちか?それはそれでいいかもしれない。
と考えたところで我に返った。最近どうにもおかしくなっている。恋愛感情などある訳がないだろう?俺とアイツは同僚で、それ以外でもなんでもない。少なくとも今まではそうだった。なのに、なんで気になってしょうがないんだ。
最近あった出来事を思い出す。そうか、薬屋だ。薬屋が来てからどうも変な気分になる。なんだか腹が立つので、色仕掛けでもしに行くか。媚i薬を作っているだろうから、台所か?
ෆෆෆ
石のように固まって動かなかった女官と宦官がようやく動き出す。お互いに視線を交えたと思うと近付いてコソコソと話を始めた。
「…やっぱり、壬氏さまってAの事」
「あれは、そうだよな……」
「ずっと傍にいる、同い年の綺麗な女の子なんて好きにならない方がおかしいわよね…」
「ほとんどの男が泣いちまうなあ、どれだけの人数がAさまの事慕ってると思って…ほんと罪な男だよ」
677人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
arashi1999(プロフ) - はじめまして!こちらのお話し大好きです!更新停止になってますが更新されるのを楽しみに待ってます! (3月20日 18時) (レス) @page18 id: 842b15c736 (このIDを非表示/違反報告)
めあ(プロフ) - ゆさん» コメントありがとうございます💘最近自分の書きたいものが何か分からなくなってきて全く書けてないんですがそういって貰えるとほんとに有難いです😭これから頑張ります!!! (1月28日 23時) (レス) id: aea8f156ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - コメント失礼します!!他の方とコメント被りしますが、本当に求めてましたこういうお話!!違う立場から壬氏さまに愛される感じめちゃくちゃ好きです(大声)是非とも更新楽しみにしています!!!! (1月28日 21時) (レス) id: 6d3f108665 (このIDを非表示/違反報告)
めあ(プロフ) - mちゃさん» コメントありがとうございます💘夢主がこういう立ち位置なの結構珍しいですよね!私も自信もって書いているので嬉しいです🥰 (1月13日 9時) (レス) id: aea8f156ce (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - こういうの求めてました!! (1月13日 1時) (レス) @page11 id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めあ | 作成日時:2023年12月31日 15時