【歌い手】獣人世界【男主】 (ページ17)

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17* no side ページ17

Aがるすの住処に来てから3日経った

るすは、そらるに言われた事が頭に残っていて、王都に行くことは無かった

だが、盗ったお金や食べ物はもう底を付きそうだった

「こうなるんやったら、もっとおかねもってるやつにしとけばよかった...。」

るすの呟きは、誰もいない路地裏で空気となった

「きょうも、いこう。」

るすは、また王都に行くことを決意した

が、行く途中、大柄な男とぶつかった

その男は、象の獣人だった

人間とバレないように被っていた帽子も取れてしまった

「ぁ...」

「あ？お前人間か。丁度いい所に来てくれたもんだ。俺今イライラしててよぉ、サンドバッグになってくれや。」

男はるすに手を伸ばす

「くんな！」

るすは護身用のナイフで手を刺した

「ってぇ！！テメェ、何しやがる！！」

男は怒り、自慢の長い鼻でるすを近くの建物の壁に吹っ飛ばした

急な衝撃でるすは一瞬息ができなくなった

逃げなくては。と、本能が悟った

いくら頭の良いるすでも、頭を使って男に勝てる勝機は無に等しかったからだ

るすは、来た道を全力で走った

背中には激痛が伴い、最悪身体のどこかの骨が折れているかもしれなかった

「待て！！」

男も追いかけてきた

だがそこまで早くない

自分の住処である路地裏の前まで来たが、まだ見える位置に男がいる

しかも、その男だけでなく、色んな獣人がるすを追いかけてきた

るすの足はもう限界に近かった

もう終わりだとるすが思った時、

"もし困った事があれば、ここから右へ三ブロック進んだところの大きい屋敷まで～。"

天月が言っていた事を思い出した

「...はぁっ......はぁっ...！！」

るすは、最後の力を振り絞って走った

丁度、Aの家が見えた所で

「捕まえた！！」

るすは、象の獣人に捕まってしまった

「よくも、俺の、手をぉ...！！」

るすの身体に巻きついた象の鼻が締め付ける

「...ぐっ......はっ...な、せ...！」

るすはもがいた

抜け出そうと必死になった

もうナイフは残っていない

他にるすを追いかけてきた獣人はるすの苦しんでいる姿を見て笑っている

もっとやれ、苦しめろという声が飛び交う

背中の痛みも増して、今度こそ殺られると思った時

「もうやめろ。」

Aが、現れた