及川徹が死んだ【岩泉一】 (ページ3)

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宮内といえばクラスでも目立つ人人気者だ。

愛嬌のある笑顔にいつでも明るいその性格。

まさに太陽を表すかのような彼女が、誕生日を誰からも祝って貰えないなんてとても意外だった。

『私は及川くんを救いたい。岩泉くんは？』

宮内の真っ直ぐな視線と目が合う。

「無論、俺もだ。」

『ふふ、じゃあ過去へ行こう。』

正直宮内のことはよく分からない。

でもこの手を取る価値はあると俺は信じてる。

差し出された手を取り強く願う。

"過去に戻りたい"

その瞬間目の前が眩い光に覆われた。

『行くよ、岩泉くん。』

「ああ…」

絶対に及川を__________

力強い追い風が俺たちの背中を押し、そこで意識が途切れた。

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目が覚めると、俺はベッドから転げ落ちていた。

鳴り止まないアラームが俺を現実へと引き戻す。

ここは過去か_____？それとも全部夢だったのか_____？

1度深呼吸をして冷静になり、急いでカレンダーを見る。

そこには2010年8.19と記されていた。

「ほんとに戻れてんのか…」

俺たちが生きている時代は2013年。

つまり高一の夏に戻ってきた事になる。

まだ少し大きい制服を着て1回へ向かう。

朝飯のいい匂いが鼻をかすり、手をつける。

心做しか母ちゃんも父ちゃんも若く見える。

「行ってきます」

いつもより少し、いや結構大きめな声で家を出る。

頑張れと、自分への暗示みたいなもんを込めて。

学校へ行く途中、後ろから肩をつつかれた。

「ちょっと岩ちゃん！なんで先行っちゃうのさ！」

「及川…？」

俺を岩ちゃんなんて巫山戯た名前で呼ぶやつ_____1人しか居ない。

振り返るとやっぱりそこに居たのは及川だった。

そうだ、及川と毎日学校いってたじゃねぇか。

ふと、昔のことを思い出す。

隣に及川が居る事実が、悔しいけど、涙が出るほど嬉しかった。

「もう〜、岩ちゃん家まで行ったんだからね！」

「すまん」

「え、岩ちゃんが謝った！？槍が振りそう！」

「うるせぇよ」

久しぶりの再会で言葉が思うように出なかった。

でも不思議と気まずさなんて感じない。

目の前でニコニコ笑う及川の背中にジサツする程の苦しみがあるとは思えなかった。

いや、及川は隠していたのだろう。

俺に気づかれないために。

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