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「ここに…」
宗助は黙って頷いた。
宗助がAを連れて来た場所は東京都の西、郊外にある墓地だった。
無言で歩く宗助の後ろを着いていくA。
宗助はある墓石の前で立ち止まった。
そこには『億宮家』の文字が刻まれていた。
墓石に水を掛け、手を合わせる宗助。Aもその様子を見て同じようにした。
「……事故死だった」
Aは宗助の横顔を見つめた。彼はどんな表情をしているのか、よくわからなかった。
「…あの日、事務所に来ていた2人はいつもと様子が違った。同じ事務所に勤めていた私はあいつらから相談を受けた。「曲が盗まれたと嘘の噂が流れている。どうすればいいか」と」
Aは視線を移して墓石に目を向けた。
そこに両親が眠っている。その事実に実感が湧かない。
「だから私は答えた。「事実でないのなら堂々としていろ」。2人は強く頷いて、直接話がしたいと言い、噂の元である外崎の家に向かった」
そして、亡くなった。
急に話が飛躍したことにAは戸惑った。
「…そこで、なにがあったんですか」
「外崎の家はかなり奥まった場所にあってな、途中に崖がいくつかあった。…雨で視界が悪かったのもあったのだろう。車はガードレールにぶつかり絶壁を転がり落ちたと聞いた」
Aは黙った。そして、暫くの沈黙を経てからもう一度口を開いた。
「…じゃあ、なんで家に連絡が来なかったんですか……！…ずっと、ずっと待ってた…」
弱々しいAの声に、宗助は一旦黙った。心なしか悲しそうな声色だった。
「…雨だったこと、遺体の状態が悪かったこと、私物が最低限だったこと、ナンバープレートが酷く損傷していたこと…様々なことが関係して身元が割れたのが遅かった。私も、その話を聞いたのは2人が行方不明になってから半年ほど経った頃だった」
宗助のその言葉にAは呆然とした。
「……じゃあ、私は捨てられてなんかなかったってことですか……？」
Aの問いに宗助は頷いた。
「…あいつらは言っていた。「愛する娘が待っているから、ケリをつけて早く帰る」と」
Aは目を見開いた。
どんな表情をすればいいのかわからなかった。
「私は先に車に戻っている。…気が済んだら来い」
宗助なりの気遣いなのだろう。Aはお礼を告げて、墓石を見つめた。
暫く、どうすることも出来なかった。
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高沢 - ドーナツさん» それと、流行りのウイルスや、風邪などにお気をつけて、どうかご健康に過ごしてください、、応援しております。 (2020年5月1日 22時) (
レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - ドーナツさん» はい...！全然大丈夫でございます！むしろリクエストに応えていただいてありがたい限りです、、！本当にありがとうございます！ はい！ご無理なさらず、ドーナツ様のペースで更新頑張ってください！ (2020年5月1日 22時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» 嬉しいお言葉ばかり本当にありがとうございます！これからも更新頑張るので、読んで頂けると幸いです。 (2020年5月1日 17時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» 初めまして！コメントとリクエストありがとうございます！！リクエストの件、喜んで書かせて頂きたいと思います！しかし、今考えているシナリオ上、一部が完結しないと書けそうにないので、それ以降でも大丈夫でしょうか……？勿論、絶対に書かせて頂きます……！ (2020年5月1日 17時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - はじめまして、いつも作品楽しみにしております。どきどきして凄く面白いです！突然ですがリクエストをしてもよろしいでしょうか、、もし宜しければ天と夢主の2人の目線からの【独占欲】が見てみたいです。これからも応援しています (2020年5月1日 15時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドーナツ | 作成日時：2020年4月30日 15時
