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天はこの状況をどうすればいいのか分からずにいた。

昨日彼女は日を跨ぐまで仕事をしていた。

だから、たまたま一緒にいた楽に車で送って貰ったのだけれどAは車の中で寝てしまっていた。
疲れていたのだろう。


その事を考えるともう少し寝かせてあげたいという気持ちになる。

しかし、Aは魘されているようだし、このまま寝かせておくのもどうなのだろうか。

天がそんな葛藤をしている時、ぱち、とAは目を開いた。


「あ、A起き……っ!?」


天と目があった瞬間、Aは自分の顔を覗き込んでいる天を強く抱きしめた。

「……A?」

「……っ、てん?」

ちゃんと天の存在を確かめたからか、Aは天を離した。

「…これ、現実?」

「現実だよ。魘されてたみたいだけど大丈夫?」

不安そうな表情のAに天は問いかけた。

「…うん、ちょっと夢を見ただけ」

変なことしてごめんね。そう言うAに天は思わず聞いた。

「…両親に、置いて行かれる夢?」

黙り込むA。
そんな彼女の様子に天はごめん、と謝る。

「困らせるつもりじゃ…」

「半分正解」

「……半分?」

Aの答えに天は聞き返す。

「不思議な夢だった。私は今のままなのに、両親がいて、天も、実緒も、美咲さんも楽もいるんだけど…」

天はAの伏せた瞳をじっと見つめた。

「………気付いたら、周りには誰もいなかった。最後に残った天も、背中を向けてどこかに行っちゃうの」

なんて、そんなことないのにね。

そう言って笑う彼女は苦しそうで、天はなんて声を掛ければいいのかわからなかった。

「…そう」

朝ごはん、できてるよ。

天はそう言って立ち上がった。彼女の今までの行動から察するに、変に家の事情を意識されるの嫌がるだろうと考えたからだった。

「ありがとう。今日は何?」

「オムレツ」

事実、Aもそれ以上天に同じ話題を振ることはなかった。


天はAが抱えるトラウマを、不安をどうすれば克服できるのか分からなかった。

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高沢 - ドーナツさん» それと、流行りのウイルスや、風邪などにお気をつけて、どうかご健康に過ごしてください、、応援しております。 (2020年5月1日 22時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - ドーナツさん» はい...!全然大丈夫でございます!むしろリクエストに応えていただいてありがたい限りです、、!本当にありがとうございます! はい!ご無理なさらず、ドーナツ様のペースで更新頑張ってください! (2020年5月1日 22時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» 嬉しいお言葉ばかり本当にありがとうございます!これからも更新頑張るので、読んで頂けると幸いです。 (2020年5月1日 17時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» 初めまして!コメントとリクエストありがとうございます!!リクエストの件、喜んで書かせて頂きたいと思います!しかし、今考えているシナリオ上、一部が完結しないと書けそうにないので、それ以降でも大丈夫でしょうか……?勿論、絶対に書かせて頂きます……! (2020年5月1日 17時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - はじめまして、いつも作品楽しみにしております。どきどきして凄く面白いです!突然ですがリクエストをしてもよろしいでしょうか、、もし宜しければ天と夢主の2人の目線からの【独占欲】が見てみたいです。これからも応援しています (2020年5月1日 15時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年4月30日 15時

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