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「…っ、ああ、ごめんね。歌が上手くてびっくりしてたんだ」
「随分歌いなれてるんだな」
「…そうかな」
口ではそう言いつつも照れたように口元を綻ばせたA。一寸の狂いもなく造られた精巧な人形のようなかんばせが破顔した時、無機物に生命が吹き込まれる瞬間を見た気がした。
「千斗さんと万理さんの曲好きなんだ。あの曲もいいよね。今日の最後にやってた、イントロが軽快でイギリスの90年代ロックみたいな…」
そんな湊の言葉に千斗と万理はお互いの顔を見合わせて笑った。
「音楽以外のことで評価されたくない」。「ファンは曲の感想もまともに言わない」と言った千斗に「お前の要求が高すぎる。誰もが評論家みたいにイントロが軽快でイギリスの90年代ロックを思わせて…なんて言わないよ」と万理が返したのは何日か前にした会話だった。
Aは饒舌なほうではなかったけれど、彼女の音楽を聴けば彼女の本質は手に取るようにわかった。
一見才能まかせに歌っているような歌声だったが、その声は相当な練習を積まないと出ないものであることを万理と千斗はよく知っていたし、細く白い、自分たちより一回り以上小さいはずの左手が、ＦやＢといった難しいと称されるバレーコードも難なく鳴らしているのも、一切のずれのないメトロノームのようなストロークも、彼女の努力を示していた。
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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» ありがとうございます〜！こちらはかなり不定期更新となってしまうと思いますが、本編共々よろしくお願い致します！ (2020年5月30日 6時) (
レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - 番外編…！ありがとうございます！！楽しみにしています！！ (2020年5月29日 23時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドーナツ | 作成日時：2020年5月28日 21時
