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ディナーの後、もう一度デッキに出てきた2人。
他の乗客はみんな、夕食の余韻を楽しんでいるのか外に出ていない。
目の前の広い海を見回しながら、まるでこの世界に2人だけのような感覚を覚えた。
それは、彼女と出会った間もない頃の感覚に酷似していた。
「…なんか、本当に夢みたい」
Aは自身の右手を満月に近い、それでも少し欠けている月に翳した。
Aの視線の先には細身のリング。
先程天がプレゼントしたものだ。
左手じゃないのかとAは疑問に思った。
婚約指輪ではないにしても、恋人からの指輪はそちらに着けるものだとばかり思っていたから。
天もそれについてはよくわからなかったため調べたらしく、どちらでも良いそうだと知ったのだけれど、仕事の時にも着けて欲しいという思いから右手にしたのだそうだ。
天曰く、『反対側の予約』らしいが。
「凄いね。サイズぴったり」
「一緒に暮らしてれば寝てる時に測るなんて簡単でしょ」
Aは眠りが深いからねと天は笑う。それもそうかとAもつられて笑った。
シルバーを基調として、水色の石が埋め込まれたシンプルな指輪。
天の右手の薬指にも、ピンクの石が埋め込まれた同じものがはめられている。
「…ねえ、仕事の時に着けるって言っても、天も同じもの持ってたら意味なくない？」
今のご時世、ネットでなんでも調べられてしまうし、それを広めることだって難儀ではない。
「…これ、オーダーメイドだから調べても出てこないよ」
天の言葉にAは目を見開く。
天から贈って貰っているプレゼントはかなり手がかかりすぎではないか。
いや、とても嬉しいのだけれど。
Aはいつかの誕生日に貰った名前入りのブレスレットを思い出した。
「…それを抜きにしても、同じものだったら関係なくない？」
天と自分のそれを見比べたらすぐにバレてしまうのではないかとAは尋ねたが、それも天に否定されてしまう。
「そうなると思って微妙にデザインを変えてるんだ。指輪なんて似たデザインは沢山あるし、そうそうバレないと思うよ」
天の言葉にAは再び目を見開く。
流石というかなんというか。抜け目がない。
「あ、これも」
そう言って天は白い薔薇の花束を差し出した。
Aは戸惑う。だって、クルージングと指輪で十分すぎるほど祝われているのに、まだあるというのだから。
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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» ありがとうございます〜！こちらはかなり不定期更新となってしまうと思いますが、本編共々よろしくお願い致します！ (2020年5月30日 6時) (
レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - 番外編…！ありがとうございます！！楽しみにしています！！ (2020年5月29日 23時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドーナツ | 作成日時：2020年5月28日 21時
