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実緒はアパートに帰ったものの、CDを聴くことを躊躇していた。

もし、パートナーが自分より劣っている人間であれば、これからの生活への不安とその人が特別扱いされている事実に顔を歪めるだろうし、自分より優れている人間であればプライドと自尊心が傷つけられるだろう。

一般的によく思われないような感情だっただろうが、それは多くの人間が秘めているであろう至極普通の感情だった。

しかし、CDを聴かずに彼女と会うのもどうなのだろうか。コミュニケーション能力は高い方だとこれまでの人生を経て自負しているが、流石に今現在嫌悪感を抱いている相手に対して、名前以外の何の情報もなく話しかけるのは難しいだろう。

もう決まってしまったことなのだ。できることなら彼女と話せる話題は少しであれあった方がいい。それがこのCDだ。

腹を括って実緒はパソコンにCDを入れた。

中にはたった一つの音源ファイルのみが入っていた。

『No title』。無題。
それが曲名なのだろうか。それとも本当に曲名がないのか。

実緒は疑問に思ったがそんなことはどうでもよかった。
無題であれなんであれ、そこは重要ではない。彼女の歌自体が大事だったから。

ファイルをクリックして読み込みを待つ。
そして、まもなく音楽が流れ始める。

イントロはどこか懐かしく感じる、それでいて初めて聴くような高揚をもたらすメロディーだった。

実緒はその感覚を知っていた。
良い曲は懐かしさと斬新さを両立させたようなメロディーを持っているのだ。

流石大手芸能事務所。作曲家の腕は良いようだ。

そんなことを考えていると歌に入る。
その瞬間、実緒は頭を殴られたような衝撃を受けた。

3→←夢に向けてのオーバーチュア.1



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ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» ありがとうございます〜!こちらはかなり不定期更新となってしまうと思いますが、本編共々よろしくお願い致します! (2020年5月30日 6時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - 番外編…!ありがとうございます!!楽しみにしています!! (2020年5月29日 23時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年5月28日 21時

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