26*-3 ページ7
息が、しづらい。
理由はわからないけど、なんか…。
(…ここに、いたくない)
さっきの私たちのように、近い距離で話す天たちから目を背けた。
思考を振り払うように、もしくは冷静になるように、私はペットボトルのぬるくなりつつある水を口に含んだ。
目の前で演技をする2人は、私がよく知る2人なのに、何故か別人のように見えて仕方がなかった。
…その姿が演技だとしたら、紛れもなく正解なのだろうけれど。
「……億宮、大丈夫か？」
「…なにが？」
「顔色、少し悪い気が…」
自分では全くわからないが、それゆえ体調に問題はないのだろう。大丈夫だと返事をした。
すると大和の顔が近づく。それこそ、先ほどの演技のように。
「……やっぱり、気のせいじゃ」
ない、と続けようとしたのだろうか。その言葉は最後まで紡がれることはなかった。
なにが合ったのかよく理解できない。
ただ、今の状況として私がわかることは……。
「……なにしてるの」
私が、天の腕の中にいるってことだけ。
腕を掴まれて引かれたのだろう。未だに天の白くて長い指が私の腕を捉えていた。
「…なに、って」
「言えないようなこと、してたの？」
言えないって、そりゃ上手く言葉には出来ないような行動だったけれど。
大和があー、と頬を掻いた。
「顔色が悪かった気がしたから大丈夫かって聞いてた」
それだけ、と言う大和の言葉に、真偽を確かめようとしているのだろうか。天が私の顔を覗き込む。私は何回か頷いた。
「…はあ、君たちプロでしょう？スキャンダルはご法度だよ」
「わかってる」
私はそう言って天の身体を押して離した。
「じゃあ、今お前がやってた行為はスキャンダルにならないって言ってるのか？」
大和の妙に刺のある言い方に、あるいはその内容に天は顔を険しくした。
確かに、家族とはいえ人前で軽率に抱きしめるのもどうなのだろうか。と大和に共感した。
「Aと君を離すためにしたことでしょう」
「別にあんな方法を取らなくてもできただろ。結局、お前も男なんだな」
「ちょっと、それどういう意味」
徐々に強くなっていく2人の口調に私は戸惑った。こんなに不機嫌な天も、大和も見たことがなかったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「アイドリッシュセブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» わー！！！ありがとうございます…！本当に悩んでいたのでありがたいです…！いつでもいくらでもリクエストお待ちしています〜！！本当にありがとうございます！！ (2020年6月11日 1時) (
レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - またリクエスト失礼してもよろしいでしょうか...？ 赤面 と いつもと違う髪型 をお願いしたいです、、ふたつも無理言ってすみません(汗) (2020年6月11日 1時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 夢巫女さん» わー！いつもありがとうございます！！迷走中ですが、これからも読んで下さると嬉しいです！！更新頑張ります！ (2020年6月4日 10時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - こういう作品を待っていたっ！！最初の方から読んでいましたが、感謝を伝えたくて我慢できませんでした！これからも更新楽しみに待ってます！ (2020年6月3日 22時) (レス) id: a86d07998f (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - ぽんさん» わあ…！ありがとうございます！！凄く嬉しいです！更新マイペースですがこれからもよろしくお願いします〜！！ (2020年5月26日 18時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ドーナツ | 作成日時：2020年5月5日 23時
