29-3 ページ28
「乾燥の季節なんだから気をつけなよ」
「うん。ごめんね」
「できた。剥がれない？」
「大丈夫だよ」
Aは絆創膏が貼られた指を曲げ伸ばしして確認した。
天はそれを見てテーブルに置いていた救急箱を片付けた。
「ありがとう」
「いいけど、アイドルなんだから身体に傷は作らないように」
「はーい」
箸を使って食事を口に運ぶ白い手に見える赤い線。その線の存在に気づいた天が尋ねたところ、本人曰く手紙を開封する際に紙で切ってしまったとのこと。
天に処置を施してもらったAは何故か鋏を持ち出して自室に戻ったのが10分ほど前の話だ。
ガタンと大きな物音がしたかと思うと何かがぶつかったかの様な鈍い音。
天は不審がってAの部屋の前に立ち、ドアを2回ノックした。
「A？」
そう声をかけた刹那、ぐしゃと乾いた紙を丸めたような音がして、ドアが開く。
「ごめん、椅子から落ちただけだよ。気にしないで」
そう言ったAの肘は微かに赤くなっている。椅子が倒れているのを見るとどうやらそれは本当らしい。
「大丈夫なの？」
「大丈夫だよ」
何があったのだろうかと部屋を見渡すものの、相変わらず生活感のない部屋でいつもと変わらない光景だった。
前に見た時との変化といえば、本棚の本の数と机の端に置いてある人間の足が生えた星のキャラクターの置物くらいだろうか。いや、なんだあれは。
部屋を出ていこうとしたところ、机の隣に置いてあるごみ箱が目に入る。
その中に捨てられている、ぐしゃぐしゃに丸められた紙と、刻まれたコバルトブルーに天は既視感を覚えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「アイドリッシュセブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ドーナツ(プロフ) - 高沢さん» わー！！！ありがとうございます…！本当に悩んでいたのでありがたいです…！いつでもいくらでもリクエストお待ちしています〜！！本当にありがとうございます！！ (2020年6月11日 1時) (
レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
高沢 - またリクエスト失礼してもよろしいでしょうか...？ 赤面 と いつもと違う髪型 をお願いしたいです、、ふたつも無理言ってすみません(汗) (2020年6月11日 1時) (レス) id: a364a1dba9 (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - 夢巫女さん» わー！いつもありがとうございます！！迷走中ですが、これからも読んで下さると嬉しいです！！更新頑張ります！ (2020年6月4日 10時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - こういう作品を待っていたっ！！最初の方から読んでいましたが、感謝を伝えたくて我慢できませんでした！これからも更新楽しみに待ってます！ (2020年6月3日 22時) (レス) id: a86d07998f (このIDを非表示/違反報告)
ドーナツ(プロフ) - ぽんさん» わあ…！ありがとうございます！！凄く嬉しいです！更新マイペースですがこれからもよろしくお願いします〜！！ (2020年5月26日 18時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ドーナツ | 作成日時：2020年5月5日 23時
