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何も言えない天を見かねたのか、Aは天の手を握って歩き出す。
「行こう。寝れないんでしょ。」
「……うん」
「じゃあ、一緒に寝てあげる。」
☆☆☆
「…どうしたの?」
ベッドに座り、未だに立ったままの天を怪訝そうに見つめるA。
天はAと一緒に寝る事を躊躇していた。
それもそうだ。天とAは13歳。
子供とはいえ、何も気にせず易々と同じベッドで寝られる程子供ではない。
どうしても羞恥心の方が勝ってしまうのはしょうがない事だと思う。
そんな事を微塵も感じていないのか、Aはまっすぐな瞳で天を捉える。
「……九条さんに怒られるよ。」
天はそんな事を気にしてはいなかったが、どうにか一緒に寝るのを躊躇わせる理由が欲しかった。
別にAと寝るのが嫌なわけではなかった。
それでも、やっぱり恥ずかしく思ってしまう自分が居た。
元々天はオンナノコと積極的に関わるタイプではなかった。
学校にそういった類の人間がいたことは確かだが、しつこく話しかけられ、冷たくあしらうと涙目になる。それくらいの歳のオンナノコならばまあ、なくはない話だが、そういった人と関わるのはどうしても苦手だった。
だから、不思議だった。
目の前の彼女は自分が今まで出会ったオンナノコとは、大きく違っていたから。
「何で怒られるの?」
「それは……っ」
こんなの、自分だけが無駄に意識してるみたいじゃないか。
彼女のきょとんとした顔を見ているとそう思えてしまう。
「眠れない時は誰かがそばにいると良いんだって。」
「…え」
「前、九条さんがそう言って、そばに居てくれた。」
懐かしむ様に微笑むA。
意外だった。こんなに大人びた彼女にもそんな時期があった事が。
「今日は私も寝れなかったから。」
「………」
「だから、そばに居てくれる?」
それなら、お互い眠れるから良いでしょ?
天をベッドに誘いながら悪戯っ子の様に微笑む彼女の顔は月明かりに照らされて綺麗だった。
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ドーナツ(プロフ) - わあ…!ありがとうございます〜!!お友達さんとは仲良くなれそうです…!笑 嬉しいお言葉ばかり、本当にありがとうございます…!こちらこそありがとうございました! (2020年6月7日 12時) (レス) id: f19df2fce1 (このIDを非表示/違反報告)
via - 私の友達がアイナナ大好きなんですよ!しかも、推しが同じだったはず…言葉での表現の仕方が凄く上手くて、簡単に小説の光景が思い浮かびました。凄く面白かったので友達にもオススメしてみようと思います!イベントに参加して頂きありがとうございました! (2020年6月7日 9時) (レス) id: 124b642d9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドーナツ | 作成日時:2020年4月1日 0時