気になる人 (ページ10)

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-苦しい心ページ10

髙地

「‥ｸﾞｽﾞｯ‥‥」

みんなが出ていけば毎回聞こえてくる鼻を啜る音

『大我、』

「おれもっ‥いきたいっ、のに‥」

『焦ったらダメだって言ってるでしょ？』

「でもっ、ｸﾞｽﾞｯ‥‥ほんとは、いけるのにっ‥じぶんで‥いけなくし、てるっｸﾞｽﾞｯ‥」

本当はみんなと教室に戻りたい
だけど怖くて戻れない。
毎日自分の気持ちと戦ってる大我。

正直、見ていて辛い

「‥ｸﾞｽﾞｯ‥おれっ、よわむしだからっ‥‥もうやだぁｸﾞｽﾞｯ‥なんでこんなからだなのっ、はぁはぁ‥はぁ」

『大我落ち着こう』

「‥がっこ、こないっ‥きらいっ‥ﾊｧﾊｧﾊｧ‥ﾊｧ‥ﾊｧﾊｧ」

『ちょっと運ぶね』

泣きすぎて呼吸が怪しくなったから
ベッドに運んで酸素をつける

「これ、ﾊｧﾊｧ‥やっ、、ﾊｧﾊｧﾊｧﾊｧ‥ﾊｧ」

酸素マスクも、ベッドも、学校も
自分のことも全てを嫌になる大我。

俺はこの時間が大嫌い

毎回助けられない自分が情けなくて、
　

「‥ﾊｧﾊｧ‥‥ﾊｧ‥はぁはぁ、、はぁ‥」

だんだん落ち着いてきたみたいで目がトロンとしてきた

『おやすみ、』

そう声をかければそのままゆっくり目を閉じた。

どうしたらいいの？
どうしたら教室に行けるようになる？
夢を叶えてあげたい。

俺にとっては教室に行くなんて当たり前のことだった
けど、大我にとっては大きな"夢"

森本くんたちと教室で一緒に勉強して、お弁当食べて
話して‥‥これが大我の夢なんだって

『こんな綺麗なやつ、教室行ったらモテモテだろうな』

たぶん大我のことを知ってる人なんて殆どいない。
保健室にこんな子がいるんだなんて皆んな知らない。

『ふふっ、損してるな』

ふと、想像した。
もし大我が普通の高校生で、森本くん、松村くん、田中くん、ジェシーくんと仲良くていつも一緒に居たら

『うわぁ、爆モテ軍団だわ』

こいつらが固まって歩いてたら道開けるわ
なんてくだらない想像ができた。

大我の呼吸が落ち着いたのを確認して

しばらくは起きないだろうから
カーテンを閉めて仕事にもった。