中村さんの彼女さん。

#33 フィナーレ ページ36

｢……ふぁぁっ、ダメだ｣



『ちょっと、ちゃんとしてよ！』





今日は結婚挨拶の日。




うちのインターホンも押せない中村友哉は朝から食べ物が何も入らずずっと手のひらに人を書いてる。





『いい？ともやん』




｢ふぅ〜〜｣




『ただいま〜』




｢お邪魔します……｣




母『あら、Aおかえりなさい〜


ほら、友哉くんあがりなさい』




その後数十分間の世間話もともやんの耳には何も入ってなかったらしく、




｢…やべぇ……




お手洗い、借りますね……｣





が何回も。




ほんとに大丈夫なのでしょうか。








父『…友哉くん、』





｢ふぅ…………｣





震えているともやんの手にそっと自分の手を重ねる。






『(だいじょうぶ)』





と小さく口パクで伝えると、ようやく覚悟を決めたらしく父の方を向いた。





｢娘さんと……｣






娘さん"と"……？




少しの疑問を持ちながらもともやんのその後の声を待つ。

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