the sacrifice (ページ2)

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In prince's dream ページ2

side ■■

そこは森の中だった。
気付けばそこに立っていて、隣にはまた誰かが立っている。メンバーの誰かだろう。濃い霧に覆われているせいでその顔は分からないけれど、雰囲気的に間違いない。

けれど、一人足りない。ここには六人しか居なかった。
誰がいないのか、なんて。探る前に事の変化は起こった。

「う、うわぁぁあッッッッ！！！？？！？！？」

誰かの悲鳴。
服がいつの間にか、変わっている。さっきまで私服のトレーナーを着ていたのに、ステージ衣装さながらのキラキラな王子様風になっている。

正直、カッコいい。

けれどそんな悠長なことは言えやしない。間髪入れずに次が来た。
鮮やかな赤色の炎、橙色に縁取られた鏡、黄色の薔薇が咲いた茨、紫色の光沢を纏う糸束、緑色の光が反射する泡、青色に染められた氷。
六つのエレメントが俺らの前に現れ、それぞれがロープ状に変形したかと思うと、六人の手足にまとわりついていた。
ご丁寧にメンカラなのが用意周到と言うべきか。腹立つと言っていいものか。

しかしここで明白になった―――否。横一列に並んだ段階で、既に皆が分かっていた。

――みっちーがいない。

どうして。けれどそれを言及することは出来なかった。声が出ないのだ。は、と誰かの息が聞こえた。
手足も動かず声も出ない。そんな大変な状況になってしまった俺らの前に更に現れたのは、不敵に笑う少女。

どういうことだ。これは何だ。これから何が始まるのか。

訳もわからず、最後にふと振り向くと、そこには川が敷かれていた。綺麗な川だった。

その向こうにいるのは、もしかして、

《You are the prince of ■■■■■■■.》

その無機質な声と共に、俺らの意識は完全に失われた。