もう一度… (ページ27)

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みんなが曲の練習をしている姿をスタジオの端でじっと見つめている。

いつも笑顔で能天気な怜央が真剣な表情をしてスタッフさんや謙ちゃんと話し合いしたり、さなぴーやみゅーくんと何度も同じ箇所を音合わせしていて私の知らない怜央の一面を見ることができた。

謙ちゃんの歌ってる姿に目を移すと、さっきまでニコニコ笑顔で手でリズムを取りながら歌っていたのに曲が変わると謙ちゃんの表情もがらりと変わって、私は引き込まれるように聞いていた。

～♪

A「(あっ…！この曲、歓迎会してくれた日にさなぴーに聞かせてもらった好きな曲だ…！)」

聞き覚えのある曲が流れると、思わず嬉しくなってその場で軽く手拍子をしていた。

それを見ていた萩ちゃんが

萩谷「Aちゃん覚えててくれたんだ！この曲好き？」

A「うん！この曲すごく印象に残ってて好き！」

萩谷「嬉しいなぁ！そしたらさ、俺の近くに座って聞く？」

A「え？」

萩谷「ドラムの周りは色んな音が溢れてるんだ、まぁ一番ドラムの音が大きいんだけどね」

A「いやいや、練習のお邪魔になってしまうのでここで十分ですよ」

森田「A～！行ってやってよ
　萩、Aに近くで聞いてほしいから言ってんだよ笑」

萩谷「は！？違うし！本当にAちゃんに色んな音が聞こえる所に来てほしいと思ったから…！」

萩ちゃんが珍しく焦りながら話してる、レアだ…

真田「萩ちゃん分かりやすいな～」

モロ「また抜け駆けですか～？」

ニヤニヤしながら煽る2人にまた萩ちゃんが「違うから！」と何度も弁明している。

怜央「行ってあげたらー？」

A「迷惑じゃないかな？邪魔にならない？」

怜央「みんな気にしないよ、……あ、意識はするかもだけど！笑」

A「そしたら折角だし萩ちゃんの後ろに座らせて貰おうかな」

萩谷「ほんと？そしたら椅子用意するね！待ってて！」

嬉しそうに折り畳みの椅子を用意してくれる萩ちゃんを横目に顕嵐が小さな声で話しかけてきた。

顕嵐「A、見るの俺の隣でもいいよ？」

A「いや、いいよ。だって顕嵐いっぱい動かないといけないじゃん、絶対邪魔になるから」

顕嵐の誘いは断り、用意してくれた椅子にちょこんと座る。

こうやって見ると萩ちゃんの背中大きいなぁなんて思う。

………え、何…顕嵐凄く萩ちゃんの事睨んでる…いや、私か！？私なのか！？

しばらくすると先程と同じようにみんな練習に戻っていった。