もう一度… (ページ12)

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私もみんなに混ざって片付けを手伝っているとあっという間に片付き、それぞれタクシーで帰るのを見送る。

みんな名残惜しそうに玄関で声をかけてくれたのが嬉しくてアトリエに残った怜央に今日の思い出を話した。

A「怜央、今日は本当にありがとね。楽しかった！」

怜央「よかったー！Aが楽しんでくれたなら俺も嬉しい！」

A「またみんなで集まってご飯食べたいね」

怜央「そうだね、またやろう！…あ、俺ももう帰らないとだ。A、ちゃんと戸締まりしてすぐ寝てね」

A「分かってるよ～！」

そう言って怜央も自宅へ帰っていった。

あんなに賑やかだったからこそ部屋の静寂がより際立ってとても寂しく感じる。

私はお風呂に入った後も名残惜しくてリビングでぼーっとしていた。

A「っくしゅん！」

肌寒さに身震いする。

ふと時計を見ると深夜2時。
かなりの時間呆けていた様で折角お風呂で暖まった体も冷えてしまっていた。

部屋にそろそろ戻ろうと思う気持ちとリビングでまだ余韻に浸っていたい気持ちで揺れている時、リビングの角にある椅子の上に掛けられたレディース物の様な小綺麗な上着が目に入った。

A「あれ、誰かの忘れ物？謙ちゃんかな……ん？でも最初からあった様な…」

手にとって上着を広げると男性にしては少し小さめ。

A「寒くなってきたから少しの時間だけ借りてもいいかな…明日みんなに聞いて洗濯して返そう」

上着に袖を通して暖かいお茶を淹れようと立ち上がり、キッチンへ向かう。

お湯が沸くのを待っていると突然、

ガチャンッ

玄関から音がする。

誰か帰ってきた…？

なにか忘れちゃったのかな？

足音が近付いて、リビングの扉が開く。

ガチャ

A「おかえ……………えっ」

私は驚いて声が出なかった。

何故って…？

だって、そこには初めて会う人なのに亡くなってしまった大好きな彼氏にどこか容姿が似ている彼が立っていたから。