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ゆっくりと音がしないように玄関の扉を開けると、壁に背中を預けて眠っている彼方の姿があった。
もしかして、ずっと待っててくれた?
そう思って固まっていると、彼方が目を開けて、寝ぼけているからなのかボーっとしたままで私のことを見た。
私の姿を捉えると、驚いたような顔をして何回か目を擦ったあと立ち上がった。

「・・・お帰り。帰ってきてくれたんだ」

彼方の安心したような微笑みに、出ていってしまった罪悪感が襲ってきた。
でもそれは私のせいではないから、別に私が後悔をする必要はないはずだ。
それなのに後悔してしまうのは、彼方が私が帰ってきて嬉しそうに笑っているからだ。

『・・・別に、許してないから。優が・・・行ってこいって・・・言ったから』

彼方は私に近付くと、困ったように眉を下げて頬笑んだ。
その微笑みが見たことないほど悲しそうだったため、私は顔を下げた。

『・・・ごめん』

「んーん。謝るのは俺の方だよ」

その言葉に顔を上げると、彼方はさっきの悲しそうな表情とは違い、優しい表情をしていた。
彼方は私の頬を撫でると、少しだけ首を傾げて私の目を見つめた、

「ごめん。Aが可愛すぎて、どう接したらいいのか本当に分からなくて・・・不安にならせてごめん。泣かせて・・・ごめん・・・」

『・・・ほんとだよ。・・・でも許すよ。だから、もう2度と絶っ対に冷たくしないでね』

彼方は私の言葉を聞くと、明るく嬉しそうな表情をして頷いた。
私も彼方の答えに微笑むと、彼方は私の手を引いて私のことを抱きしめた。

「・・・A、愛してる」

小さく呟かれるように囁かれた愛の言葉に、無意識のうちに頬を緩ませた。

『・・・私もだバーカ』

愛してるって言いたかったけど、でもそれはケンカじゃない時に言ってあげる。
だって今回は私のせいじゃないから。
私は彼方に見えないのを良いことに、ベッと舌を出した。
・・・優には、お礼言っても言いきれないほど色んなことをしてもらった。
大好きな従兄のことを考えたあと、私を抱きしめて離さない彼方をなんとか引き剥がした。
今日は離れてた分と言われて彼方に引っ付かれた日となった。

お礼→←7 優side



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設定タグ:歌い手 , そらる , ツンデレ   
作品ジャンル:恋愛
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あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます! (2021年1月17日 16時) (レス) id: 4e3b964e65 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 尊い尊い尊い (2021年1月17日 15時) (レス) id: 180eab5c21 (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます!少し不安だったので嬉しいです! (2020年7月9日 17時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 終わり方神か (2020年7月9日 16時) (レス) id: 796bfd041b (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - 絵が上手くなりたいさん» クレープは美味しいですね。デレそらるさんも美味しいです。ありがとうございます (2020年6月18日 23時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あづの ひみ(元朝日菜薔薇) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/  
作成日時:2020年6月6日 13時

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