4 彼方side ページ42
切られてしまった電話に深くため息をついた。
どうやら、坂田は今回の件についてはかなり怒っているらしい。
俺が冷たく接してしまうのは、たしかこれで二回目で、きっと二回も同じことで泣かせるなという意味で怒っているのかもしれない。
俺は頭を荒々しくかくと、今日何度目かのため息をついた。
『全然うまくいかない・・・』
そう呟いたと同時に、急に肩をトンと叩かれ、驚いて勢いよく後ろを向いた。
そこには楽しそうにニコニコと笑顔を作っているまふが立っていた。
まふの後ろには、天月と浦田くんもいた。
「そらるさん、びっくりしました?」
悪戯っ子のように微笑むまふのことを無言で睨むと、まふはすぐに謝った。
まぁ今回は許すけど、っていうか別にそんなに驚いてないし、うん、断じて驚いてない。
「そらるさん、ここで何してるんですか?暇なんですか?」
『いやめっちゃ忙しいけど』
暇なわけないという意味合いも込めて深くため息をつくと、苦笑いを返された。
興味なさそうに外壁に寄りかかっていた浦田くんが、静かに、そらるさん、と俺の名前を呼ぶと、じっと俺のことを見つめた。
「Aのこと探してるんすか?」
俺がその言葉に反応をすると、まふが驚いたような顔をして俺の腕を掴んだ。
「も、もしかしてまたケンカですか?きっとさかたんのとこ」
『今日は帰ってこないよ』
まふの言葉を遮るように言うと、まふは俺の言っている意味が分からないとでもいうかのように首を傾げた。
「・・・それ、Aが?」
『いや、坂田が』
「ふーん・・・で?そらるさんは結局Aのとこには行かないんすか?」
俺は言葉を濁したあと、3人から顔をゆっくりとそらした。
行けるわけがない。
俺のせいであんなにも悲しそうな顔させたのに、俺が行けるわけない。
俺が深くため息をつくと、3人は顔を見合わせて眉を下げた。
『・・・とりあえずAの帰り待つ。話聞いてくれてありがとな』
俺はその場から立ち去ると、家へと帰った。
・・・明日には、帰ってくるよな?
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あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます! (2021年1月17日 16時) (レス) id: 4e3b964e65 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 尊い尊い尊い (2021年1月17日 15時) (レス) id: 180eab5c21 (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます!少し不安だったので嬉しいです! (2020年7月9日 17時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 終わり方神か (2020年7月9日 16時) (レス) id: 796bfd041b (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - 絵が上手くなりたいさん» クレープは美味しいですね。デレそらるさんも美味しいです。ありがとうございます (2020年6月18日 23時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あづの ひみ(元朝日菜薔薇) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/
作成日時:2020年6月6日 13時