【utit】画 面 上 と 画 面 裏 で は 素 直 さ が 違 う 、 そ ら る さ ん ＿ 番 外 編 ＿【srr】

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彼方は雑誌を読んでいるのか動きが止まって、数分後に読み終わったのか顔を上げた。
私のことを見て数回瞬きをしたあとに、彼方は首を傾げた。

「Aは、俺なりの愛情表現をやってみせてほしいの？」

『望んでないけど』

彼方の愛情表現だなんて私が一番知っているし、なんなら私が一番受けている。
それなのになぜそれを望まなくてはならないのかが分からず、逃げようと試みるが、甘い雰囲気になったときの目になっている彼方が私のことを逃がさない。
彼方は私のことを押し倒すと、私の頬を優しく撫でて微笑んだ。

「遠慮しないで？Aにならいくらでもやってあげるから」

『ほんとにいらないんだって･･･』

彼方のことを押すが、やっぱり全然動かなくてため息をついた。
至近距離はいまだに苦手のため、顔に熱が集まっていくのが分かる。
彼方はそんな私の反応を見て、心底楽しそうに微笑むため、私は彼方から顔をそらした。
すると彼方が急に私の頬にキスをして、私は驚いて彼方のことを見た。
その瞬間、彼方は私の唇に触れるだけのキスを落として、悪戯っ子のように微笑んだ。

「隙あり」

『･･･バーカ』

彼方がツンデレだと思ったことを撤回することにする。
彼方は正真正銘のデレデレタイプだ。
たしかにツンツンしてはいるが、それはただクールなだけだ。
ツンデレならば、こんな雰囲気になんてならないし、こんなに甘くない。
私は口を手で覆うと彼方のことを睨んだ。
彼方ほど愛情表現が厄介な人はいない。

ヤンデレ→←愛情表現

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