【utit】画面上と画面裏では素直さが違う、そらるさん＿番外編＿【srr】 (ページ18)

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推しページ18

推しというのは、応援する人や評価する人のことを指す言葉であり、好きというのは少し違う、憧れという思いなのだが、目の前にいる彼は、どうやら推しすらも自分でないと嫌らしい。
不機嫌そうな顔をして、私から顔をそらす彼方を見て呆れてため息が漏れた。

『彼方、好きな人と推しは違うんだよ？』

「･･･それくらい知ってる」

推されている側だけど、そういう知識を持っているということは、きっとリスナーさん側の気持ちというのを考えてなんだろう。
いや、ならなぜ不機嫌なんだまじで。

『ならなんで怒ってんの』

彼方は私のことを見ると、チラッと私が持っている携帯を見た。
その携帯には、昨日投稿された真冬の新曲のMVが映っていて。

「･･････推し、まだまふなんだなぁって思って」

『あー･･･そのこと？』

私は携帯の画面を暗くしたあと、机に置いた。
彼方のことを見ると、不安そうな顔をして私のことを見ていた。
なぜここまで不安になるのか･･･
私はため息をつくと、彼方の頬を手で挟み彼方の目をじっと見た。

『たしかに真冬は声もすごいいいと思うし、作詞作曲する曲も才能に溢れててすごいって思うし私は好きだよ？でも･･･』

「でも･･･？」

これから言う言葉に顔に熱が集まってくるが、彼方はいまだに不安そうな顔をしているため、しっかりと伝えなきゃいけない。
私は一呼吸置いたあとに、顔をそらしたいのを必死に堪えながら彼方の目をそのまま見続けた。

『ガチ恋は彼方しかいないから』

「･･･なにそれ」

彼方は不安そうな顔から、嬉しそうな顔へと変えると、ふっと微笑んだ。
私は彼方の頬を離すと、恥ずかしくなって顔をそらした。
すると、腕を引かれて彼方に抱きしめられた。

「ありがと」

『･･･ん』

本当に嬉しそうな声に、どれだけ私のことが大好きなのかを察せた。
そんなに不安にならなくとも、私は彼方しか好きじゃない。
･･･そんなこと言ったら私は今すぐにでも恥ずかしくて逃げ出したくなるから言わないけど。