世界一愛するお前の所へ

NO.70 ページ44

嘉成side〜



「…母神像?


…どこにあるんだ……」




『由無華村(ゆなかむら)の常盤山(ときわざん)の頂上だ』





「……あの村か」




『もう二度とAが行きたくないと言った場所さ』




「Aを苦しめるものの１つか」





『あぁ


まぁ、Aを戻すのは最後の最後だ



あまり傷付けないようにする』




「あと何がAを傷付ける」




『それは行ってみないと分からない


全てのAの心が視える訳ではないからな』




「…………そうか」





そう話す雪紫神が言っていることは正直滅茶苦茶だと俺は思う。






Aを生きながらせるには他の命を差し出さなくてはならない。


場所は雪紫神を奉る母神像のある本殿。


それがあるのは雪時村の常盤山の頂上。


そこはAが一番行きたくない場所で。


でも行かなければAは死ぬ。





「…この際Aが苦しむのは仕方がないだろう


Aを生かすためだ




俺の命を差し出す」




それは駄目だよ。高杉晋助。



君には最後の使命がある。





『駄目だ



お前はAの最後の支えだ


お前がいなければAは自決するぞ』




「じゃあ他に命を差し出す奴がいるのか!!!」




もう必死だった。




Aが生き残るためなら何でもする。




考えてることは同じだろうな。





「俺が命を差し出すのさ



良い案だと思わないかい


高杉晋助」





「嘉成靜…」





そんな顔は止めてくれ。


Aと被ってしまう。

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