Prolog ページ1
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「……ッ、ふ……」
薄暗い部屋に、小さく吐息が漏れた。
同時にぷつん、と音をたてて僕たちを這うように結んでいた銀の糸が消失する。何時だって決まってこれが『終わり』の合図で、それは男女からただの他人の関係へと引き戻す合図でもあった。
――今日もまた、『他人』になる時間がやってきたのだ。
銀の糸とは脆くて細い。
僕たちの関係だってそうだ、お互いがお互いの私利私欲を満たすための道具。接吻と言う項目を除いてしまえば、全く縁の欠片も無くなってしまう。
ただそれは、『関係』を続けるには必要不可欠なもの、真っ当さを欠く僕たちの穴埋めになる必需品だ。それを暗黙の了解と言ってしまえばそうなんだろうけど。
「……お疲れさま。ありがとね」
「構いませんよ、今日暇だったし」
急な連絡だったのにごめんね、と彼女は申し訳無さそうにするが、直ぐさま「僕が会いたかっただけですから」と返してみると、照れくさそうに頬を朱色に染める。
――嗚呼、そんな姿も可愛らしい。
何て、絶対に言ってはいけない言葉は飲み込むしか無い。まだ僕は、関係を続けていたい臆病者だ。
「そろそろお暇させてもらうね。今日は本当にありがとう」
僕が挨拶をする前に、彼女はそれからさ、と足を止めて踵を返した。
同時に烏羽色の艷やかな髪が靡いて、その隙間から硝子細工で出来たような肌が顔を見せる。
「一週間くらい忙しくて誰とも会ってなかったから、久々で凄く楽しかった」
少女を連想させるような悪戯っ子笑顔を向け、舌を出して挑発をした。どこから見ても清楚な彼女がするそんな仕草はかなりミスマッチ。ちぐはぐ。ボタンを3つくらい掛け違えた感じ。
――でも、やっぱり愛おしくて。
僕が見惚れている内に、るすくんは違うと思うけどね、何て注釈を言い残すと、ぱたんと玄関の扉を力無く閉めた。
「――――ずっるい」
嗚呼もう、隠れられるなら隠れたい。火照ってしまう情けない顔を抑えながら、誰もいない部屋でそう呟く。
最後にこうやって刺激的な発言を残していくのが彼女流だ。彼女は意地悪だから、僕の反応を見て楽しんでいるのだも思われる。年下だし。
厄介な相手だなあ、全く。
――黒崎輝。ただいま年上のキスフレに片思い中です。
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雀夜 - あと私も作品を作っていますがマジカル初心者ですよ初心者どうし頑張りましょ (2017年11月6日 17時) (
レス) id: 7bf7f79e68 (このIDを非表示/違反報告)
雀夜 - 更新お疲れ様ですとってももどかしい感じがしていいですな (2017年11月6日 17時) (レス) id: 7bf7f79e68 (このIDを非表示/違反報告)
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