「抹茶ラテとミルクティ」 ページ4
広平さんたちとなんやかんや話して、まただなんて言って帰っていく後ろ姿をただ見つめる。
それに続くように会計をして、広平さんたちとは逆の方向へ歩いて、裏口に回る。
君を待つだけの時間が嬉しくてふわふわしててなんとなく落ち着かない
裏口から出てきた君は、やっぱりどこか綺麗で儚い存在で。
目を奪われとることに気づかれないようそっと目を逸らした。
『…お話、聞いてくれますか?』
「え、、」
『今までの私のお話です』
「うん」
君が俺に話してくれるっていう選択肢をとると思わなかった。
たぶん、俺に話しても現状は何も変わらない。
君のお兄さんや祐希さんほど力になれるわけが無いし、守れる訳でもない。
それでもどこかで
君の今までを聞くことで君に対する俺の意識が少しでも変わるんじゃないかって
「取り敢えず、公園…いやカフェでも行く?」
公園じゃなくてカフェに変えたのはただの気分
なんて格好をつけてみたいけど、
前みたいに
前の電話の時みたいに君のお父さんが来たらたまったもんじゃない。
人が少しいるくらいの方が俺も、多分君も安心するんだと思う。
「…抹茶ラテと」
『あ、ミルクティお願いします』
店舗について、ササッとメニューに目を落として注文して席に着く。
『私、ずっと生まれてからずっと実の母親が居ないんです』
頼んだミルクティと抹茶ラテが来て1口飲んで息をついて
そっと君が口を開いた。
『お母さんは私が生まれたと同時に息を引き取っちゃって、私が小学生に上がる前まではずっとお父さんが1人で私たち6人を育ててくれて』
そんなある日
君の声が一気に低くなった
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作者名:ちょこ | 作成日時:2021年10月12日 17時