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「これ今すぐ書ける?」




そう言われて指さされた先のサインは、私が悩んで悩んで悩んだ末に出したサイン。

綺麗とも、可愛いとも、かっこいいとも言えない。
なんとも歪な形をしたサイン。

それでも私は気に入ってて。




「………はい、」

「これでいいんじゃない?俺これいいと思うよ。まぁあとはAの好みの話だけど」

「これにする!」




だって、祐希さんもいいと思ってくれたんでしょ?
だったらこれにするしかない。
これがいい。

そんな風に意気込んだ私を見て、祐希さんは呆れたように笑う。




「もっと自分の意見持ちなよ笑」

「祐希さんが好きだからこれがいいの!」

「はいはい。俺のこと好きじゃなくなったらAが気まずくなるだけじゃん。いいの?」

「絶対になんないもん!祐希さんのことずっと好きでいる自信ある!」




その言葉を期待してたわけじゃないけど、いざ言われると。



そう言いながら、また少しだけ顔を赤くする。
甘酸っぱい空気が病室全体を包み始めた頃、ノック音が聞こえてゆっくりとドアが開いた。

すらっとしていて、達宣とそう身長が変わらないくらいの高さ。
だから必然的にも祐希さんとそんなに身長が変わらない。


モデル並みの顔立ちで、私と祐希さんを見つけた瞬間険しい表情をしていた顔が笑顔に変わる。




「祐希さん!Aさん!」

「あれ、藍くんじゃん」

「藍どした?」

「Aさんに会いに来た!」

「私?笑」

「あと達宣さんがAさんに会いに行けば祐希さんとも会えるって」

「あながち間違いでは無いな。笑」




スピードの早い会話が目の前で繰り広げられる。
いつの間にか部屋の中に入った藍くんは、祐希さんの隣に堂々と腰を下ろした。

迷うことなく向かった視線の先は、私が書き狂ったサイン。




「うわぁ、」




第一声は、誰も同じらしい。

私のサインが並ぶプリントを見た藍くんが、嫌そうな顔をしながらそんな声を漏らした。

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設定タグ:龍神NIPPON , 石川祐希 , 大塚達宣   
作品ジャンル:恋愛
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ちょこ(プロフ) - SACRAさん» 嬉しい言葉、ありがとうございます!! 更新はゆっくりですが気長に待っていただけると嬉しいです!! (10月23日 20時) (レス) id: a4fd68cf54 (このIDを非表示/違反報告)
SACRA(プロフ) - めっちゃ好きですこのお話 頑張ってください (10月22日 3時) (レス) @page20 id: 414e0b7211 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょこ | 作成日時:2023年10月9日 18時

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