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「ぁっ、」





私は、この足で何ができるんだろう。

大学1年生で味わった初めての絶望。




「今は足をなおしなさい」




そして代表に初めて呼ばれなくなったこの絶望も。
全て、私を追い込んだ。


怪我の発覚後、イタリアから直ぐに東京に戻る。

半分諦めかけている私を横目に、復帰の準備が始まった。




「ん?」

「なんでもないです、」




祐希さんは、あれから少しの合間を縫ってわざわざイタリアから東京まで来てくれた。

何かをできるわけじゃないのに、ただ私の病室に来て、お話して。
時間になったらまた直ぐに戻る。


そんな生活を送らせたせいで試合のコンディションが、なんて考えたのはいらない考えだったらしい。

結局、祐希さんはいつもと変わらないパフォーマンスで試合を終える。




「ねぇ、そろそろ決めてもいいんじゃない?続けるか諦めるか」

「…だって、」

「続けるにしても、諦めるにしても。誰もAを責めたりしないよ」




分かってんだろ?




「みんなお前の選択を待ってる」




私が戻ったところで、チームになにが貢献できるんだろう。
チームに何をしてやれるんだろう。




「俺は、別にAがどんな選択をしても構わないよ。やめるでも、やめないでも」

「……だって、」

「してやれないじゃなくて、してやる、じゃないの?」

「……」

「いつものあの元気の良さはどこに消えたんだよ」




祐希さんは目の前でさわやかに笑う。
幸せそうに笑って。

私を少しだけ突き放す。




「……」

「答え、決まってんでしょ?」




祐希さんにはなんでもお見通しで。




「ほら、自分の口であとは言うだけじゃん。何戸惑ってんのさ」

「続け、たい」

「決まりだ。ならリハビリ頑張らないとね」




祐希さんは、最初から私の答えを知っていて。
いつも通り、また爽やかに笑いかけた。

目の前でキラキラと笑顔を見せる祐希さん。


きっとそんな祐希さんに私は何をとっても勝てないんだと思う。

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設定タグ:龍神NIPPON , 石川祐希 , 大塚達宣   
作品ジャンル:恋愛
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ちょこ(プロフ) - SACRAさん» 嬉しい言葉、ありがとうございます!! 更新はゆっくりですが気長に待っていただけると嬉しいです!! (10月23日 20時) (レス) id: a4fd68cf54 (このIDを非表示/違反報告)
SACRA(プロフ) - めっちゃ好きですこのお話 頑張ってください (10月22日 3時) (レス) @page20 id: 414e0b7211 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちょこ | 作成日時:2023年10月9日 18時

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