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「ぼーっとするのも、ニヤけるのも。普段ならなんも言わないけど、練習中はさすがに危ない」
「ごめん。」
「Aが怪我で引退しなきゃいけないとかいう場面、私はもう二度とみたくない」
「ごめん。考えれてなかった」
真佑が言うことはご最も。
1度その恐怖を経験したくせに、またその事が頭から抜けて。
目の前のことにすら集中が出来なくなって。
「…集中する」
「戻ろっか。ごめんね連れ出したりして」
「んーん。ありがとう」
真佑はこうして、たまに私をこっちの世界にちゃんと引き戻してくれる。
優しい人だ。
祐希さんに似てるんだよね、こーゆーところ。
羨ましい。
祐希さんと兄妹であることが。
あぁ、でも、祐希さんと兄妹だったら付き合えないのか。
なら今の関係性でいいかな。
「おおっと、」
「達宣!ごめん!怪我してない!!?」
「へーき!」
「よかった!」
真佑に連れられてお話して。
喝を入れてもらって。
それからはちゃんと集中した。
ボールが綺麗に弧を描いて、色んな人の手に吸い込まれていく。
たまにはミスった変な鈍い音もするけど。
でも、綺麗。
どんな音をボールが奏でていても、綺麗に弧を描く。
不器用ながらも、綺麗に丁寧に。
床に打ち付けられたボールは誰もが予測しない方向に飛んでいって、達宣に直撃。
しかも、頭に。
「ちょちょちょちょ、ねぇ、絶対平気やないでしょ?」
「平気やって笑」
「視界揺れてない?これ、何本に見える?」
「1やん笑…な?大丈夫やから、行ってき」
いや、そりゃちゃんとしてた。
ちゃんと私の出した数字が読めてた。
ちゃんと見えてた。
でも、怖いじゃん。
心配するに越したことはないじゃん。
「……あぁ、もうほら。何そんな辛気臭い顔してん笑、別にバレー出来んくなるわけやないんやから笑。当たっただけで大袈裟やで笑」
だって、達宣が好きなバレーボールを私は取り上げてしまう人になりたくないよ。
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ちょこ(プロフ) - SACRAさん» 嬉しい言葉、ありがとうございます!! 更新はゆっくりですが気長に待っていただけると嬉しいです!! (10月23日 20時) (レス) id: a4fd68cf54 (このIDを非表示/違反報告)
SACRA(プロフ) - めっちゃ好きですこのお話 頑張ってください (10月22日 3時) (レス) @page20 id: 414e0b7211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作成日時:2023年10月9日 18時