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祐希さんとのほぼ入れ替わりみたいなもので。
達宣が来た。
少しだけ眉間に皺を寄せてみたりなんかして。
私をじっと見つめる。
そんな顔をしているのにもかかわらず、達宣の優しい表情が隠せてない。
「そんな、っ、」
「そんな理由とかじゃなくて。俺、言ってるやん。素直に伝えるって笑」
「でも試合、」
「別に次の試合に余裕があるとか、負け試合でもいい訳やないけど。俺はバレーとおんなじくらいAのことが大切やから」
達宣は真剣な目で私を見つめる。
「(Aー、今日は帰れよー)」
「(嘘でしょ?)」
「(今日はしゅーりょー)」
「(ねぇいつもより短いよ!)」
「(彼氏が来てんのにまだする気?)」
「(まって彼氏じゃない!笑)」
「(いいからいいから、そんなに恥ずかしがらなくても)」
「(ほんとに違うってば!笑)」
トレーナーがからかいながら私と達宣を体育館から出す。
ニヤニヤとした表情をしてるから、本気で彼氏だって思ってるみたいで。
この場に祐希さんが居なくて良かったと心の底から思う。
「なんて言ってたん?」
「ん?今日は練習終わりって笑」
「それだけやないやろ?」
「それだけ」
「彼氏って単語、」
「は、え、まって、、イタリア語勉強してんの!?」
「やってAが居るから」
「ちょっと先言ってや!そーゆーことは!も〜、トレーナーの人とイタリア語勉強出来たじゃん」
達宣はずっと真っ直ぐ。
真っ直ぐ過ぎて怖いくらい。
「んで、彼氏は?」
「冗談だよ、トレーナーの」
「ほんとに彼氏にしてもいいやん」
「だから私祐希さんが、!」
「それ以上は俺の前で言わん約束やろ?」
希望くらい持たせてくれててもいいやん。
達宣は、ずっと私の口から「祐希さんが好き」の言葉を聞くのを躊躇っている。
その言葉を聞いてしまえば、達宣はいよいよほんとに私を諦めなきゃいけなくなる。
達宣にとっては、そのことが一番辛そうで。
私はそれに従うしなかった。
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ちょこ(プロフ) - SACRAさん» 嬉しい言葉、ありがとうございます!! 更新はゆっくりですが気長に待っていただけると嬉しいです!! (10月23日 20時) (レス) id: a4fd68cf54 (このIDを非表示/違反報告)
SACRA(プロフ) - めっちゃ好きですこのお話 頑張ってください (10月22日 3時) (レス) @page20 id: 414e0b7211 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこ | 作成日時:2023年10月9日 18時