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そして、遂にその時が来る。
ファン「きゃぁぁぁぁ!!」
中村「A、おめでとう」
A「ん、さんきゅ」
スタッフ「Aくん」
A「ほんとは、ほんとはデビューしたくなかったんです、俺」
同時デビュー発表のコンサート終わり、石渡はスタッフを誘ってある砂浜まで来ていた。
A「本音を言ったら、俺は、今まで一緒に頑張ってきたトラジャともデビューしたかったんです」
A「そんなこと、言えないけど。でも、なんか俺らだけ抜け駆けみたいな。なんとも言えない気持ちがあって」
なんで、みんな平等に幸せになれないんだろう。
小さな声で石渡は声を零した。
石渡は誰よりもデビューを怖がっていた。
A「あそこで泣くわけにはいかなかったんです。俺らよりも、ファンの方が苦しいと思うから、嬉しいと思うから」
A「北斗は辛かったら泣けよってことあるごとに言ってくれるけど、でも、あそこで泣くのは違うなって」
A「俺は弱いんです。どんなことにも挑みもせず、ただ周りに流されて、周りの意見に同意して、自分の考えを一切持たない、ただの弱虫。」
A「色んな人と協力して集団行動する蟻も多分それぞれがちゃんと自分の意思を持って行動してるけど、俺はそれが出来ない。考えて行動して間違えた時が怖いんです」
確かに、石渡は自分の気持ちを、自分の考えを相手に伝えることはしていなかった。
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作者名:ちょこ | 作成日時:2021年4月4日 13時