ブーイングは酷いよブーくん！ ページ32
「ところでさ、Aはなんでうろちょろしてたわけ？」
おい、うろちょろって。
言い方が酷いぞ。
『キルア探し。ってうわ、負けた。くっそぉ……。卑怯だぞ！』
今はミルっちとカーレースゲーム中。
ミルっちにゴール間近のところで赤亀の甲羅を投げられて惜しくも負けた。
「じゃ、着いてこいよ」
『は？』
「会いたいんだろ？」
『うん』
ということで急にキルアに会えることになった。
ついゲームに夢中になって忘れてたとかないない。
これも作戦のうち。
しばらく歩いて鉄製の重たそうな扉が開くと、鎖で繋がれぶら下がっている傷だらけのキルアがいた。
「A！？」
『うわ、キルア大丈夫？ミルっちって人のことなぶる趣味あったわけ？』
「ちっげーよ！そんなのねーわ！」
私はキルアに駆け寄り、血を拭ってやった。
『キルア、あんたのお兄ちゃん達ってヤバくない？何を食べたらああいう思考になるのよ。』
「ほんとだよな。」
「おい！！」
キルアは見た目に反して、余裕そうだ。
んま、原作でもそっこーで鎖ちぎって行っちゃったもんね。
私たちが笑っていると、キルアは突然黙って下を向いた。
「……A、ほんとにごめん。傷、残ってないか？」
項垂れてそう言うキルアがなんだか可愛かった。
私がキルアの頭をわしゃわしゃと撫でると、キルアは驚いたように顔を上げた。
『キルアくん？私をそう舐めてもらったら困るよ！お腹の傷もご覧の通り！』
私は服をめくり上げて脇腹を見せる。
「うわああ！お前何やってんだよ！」
「しまえ、しまえ！」
と2人からブーイングを受けたので服を元に戻す。
そんなに言わなくたって良いのにさ！
「……良かった。ほんとに。」
安心そうに笑うキルアを見て、私もなんだか嬉しくなる。
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作者名：さっかーろ | 作成日時：2023年5月3日 17時
