ディナーで事件？ ページ26
今、ゾルディック家のみなさんはディナー中だという。
メイドさんたちに参加しろと言われて、私は扉ひとつ隔てたところに向かっている。
……着いてしまった。
私は深呼吸してからノックをして扉を開ける。
目の前にはゾルディック家の方々。
しかし、ミルキとキルアはいない。
……お楽しみ中なのだろう。
『初めてお目にかかります。A･ペールと申します。』
私はスカートの裾を両手でふわりとつまみ上げ、お辞儀をする。
するとキキョウさんは両手を合わせ、
「まぁ、礼儀正しくて可愛らしい方ね！私、キキョウ･ゾルディックよ。キルアとイルミと仲良くしてくれて嬉しいわ！」
と満面の笑みで言う。
『キルアさんとイルミさんにはたくさんお世話になってます。ありがとうございます。』
キキョウさんは満足そうににっこりと笑うと、イルミの隣に座るよう、私に促した。
イルミの方を見ると目が合ったので驚いた。
ちょっと怖いな。とひよっていたが、執事さんに椅子を引いてもらったため、座ることにした。
「さぁ、Aちゃんも食べて、食べて！」
私は目の前にあるステーキを食べやすい大きさに切って口に運ぼうとした。
が、その時思い出した。
ここはゾルディック家である。
普通なご飯なはずがない、と。
『あのキキョウさん、このご飯って、毒入り……』
「そうよ！お口に合うと良いけど。」
そう言って期待の眼差しを向けてくる。
食べられないって言えないじゃないかー！
このブレスレットでも毒は防げないのに！
と心の中で嘆いていると、イルミが助け舟を出してくれた。
「母さん、Aは毒耐性持ってないよ。」
するとキキョウさんは驚いた顔をして
「そうなの！？あら、ごめんなさいね。作り直させるわ。」
と言ってくれた。
でも私はせっかく作っていただいたのにという罪悪感に飲まれてつい、
『いえ、大丈夫です！食べられます！』
と言ってしまった。
……そして、ステーキを口に含み、飲み込む。
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作者名：さっかーろ | 作成日時：2023年5月3日 17時
