ペットにしたい ページ22
車が止まったかと思うと、もうそこは試しの門の目の前だった。
めちゃくちゃ禍々しいオーラを纏ってる門だ。
門だけでこのレベルとかゾルディック家怖すぎ。
なんて驚いていると、イルミが車を降りた。
そして手を差し伸べている。
エスコートってこと？
私はイルミの手にそっと左手を添えて立ち上がった。
『ありがと』と言うと、満更でもなさそうな顔をしていた、
気がする。
イルミは試しの門の目の前まで行き、
「開けてみなよ」
と言ってきた。
これを……開けろ、と？
嫌だったが、自分実力を知るために渋々することにした。
イルミが怖くてするとかじゃないから！
門にそっと手をあて、息を吐くのと同時に思いっきり押す。
案の定開かない。
でも少しは動いたので良しとする。
次に、足と腕に念を集めて練り、押してみる。
するとグググッと門が動き、3まで開いた。
『おお……』
とつい間抜けな声を出してしまう。
念だけでこうも違うとは。
念の工夫次第でもっと開いたな。
例えば、
でもあまり人には念能力はバレない方がいい。
んまあ、
身体能力が凄いんです〜で突き通すことにします。
イルミは「ふうん」と満足そうな声を出し、さっさと中に入ってしまった。
私も慌てて入る。
すると、ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞと地響きがしてきた。
イルミの方を見ると焦っていなかったので、ミケか。と察した。
しばらくするとミケの本体が見えてきた。
かっわい。尻尾振ってる。犬じゃん。
しかし、いつまで経っても減速をしない。
あの豚を連想させる。
これやばくない？
ぶつかるよ。
ミケじゃなくて私たちにダメージが大きいよ。
なんて思っているといつの間にかミケは目の前にいて、ミケの大きな舌にべロリと舐められた。
『うわ、私美味しくないです！』
咄嗟に叫ぶ。
けれどミケには食べられなかった。
やけに気に入られてしまったのだ。
大きな頭をグリグリと擦り付けてくる。
私がそっと頭を撫でてあげると、嬉しそうに尻尾を振った。
「ミケが家族以外に懐くなんて珍しいな。」
イルミも驚いている。
ミケって感情がないんじゃなかったっけ？
でも今は本物のわんちゃんみたいに感情豊かだ。
ペットにしたいなーと思ったが、こんな大きさ、飼える場所ないわと我に返った。
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作者名：さっかーろ | 作成日時：2023年5月3日 17時
