□4. ページ5
ドクン、と脈打つ鼓動。
きっと彼がこの場で狙って殺すなら私かヒーロー。
…そんなこと、壊理は望んでない。
壊理を脅す時に治崎さんは手袋に手をかける。
───
ざっと殺気を感じ取った壊理はヒーローの胸元を掴んでいた手を離して私の元へ駆けた。
ぽすっと柔らかく私に抱きついた壊理に、思わず小さく息を吐く。
「なんだ、もう駄々は済んだのか？」
くるりと踵を返す治崎さんと、コクリと頷く壊理。
私はふらりと彼女を抱えて立ち上がる。
呆然としながら。
それはフードを被った彼…、ヒーローも然り。
動揺したように「え、あの…」とこちらを見つめる。
「いつもこうなんです。すみません、悩みまで聞いてもらって。ご迷惑お掛けしました」
…ごめんね壊理。何もしてあげられなくて。
「A、行くぞ」
会釈をした治崎さんに呼びかけられた私は、ちらりとヒーローたちを見て目を伏せる。
…まだ学生さん、かな。
『…お仕事、頑張ってください』
ぼそりとそう呟くように言った私は、そのまま目を伏せて壊理を抱えたまま彼の背中を追った。
·
「最近の若者は一段と病んでるな」
拠点である事務所に戻れば、1番に出迎えてくれたクロノさんが私の横を歩く。
私は早足で地下の通路を進む治崎さんを慌てて追いかけていた。
「クロノ、風呂の用意しろ」
そんな時、私たちの目の前にマスクを着用した人が焦った様子で飛び出てくる。
「す、すんません若頭！ちょっと目を離した隙にそのガキが逃走しやがって…」
彼が言い終わるよりも、治崎さんが分解する方が早かった。
悲鳴を上げる間もなく、壁が赤く染まったのを見て私は歯を食いしばる。
「…掃除もだ」
『は──…』
「A、お前はいい」
“はい”って。そう言おうとした私に、治崎さんは「クロノ」と一言。
「へい」
そして、今度は私に。
「壊理の監視はお前じゃなきゃダメだ、A」
流し目でこちらを見た治崎さんに、体の奥がピリつく。…それは、まるで逃がしでもしたら許さないとでも言い出しそうな瞳だったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 822人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ - 治崎廻さんが私の一番好きなキャラクターなのですが、夢小説がなかなか無くて自給自足しなきゃなぁ、と思っていたところ、この作品に出会いました。この作品が大好きです！続きもすごく気になります。更新頑張ってください。応援しています！ (2020年9月22日 14時) (
レス) id: 622aa4e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
碧佳 - え、めっっっっっっっちゃ好きです!!!すんごい続き気になる〜！更新頑張ってください！ (2020年3月3日 12時) (レス) id: f33055e332 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！ (2020年2月17日 0時) (レス) id: 9e63868de4 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - めちゃくちゃ好きですこの作品！めっちゃうちの読みたかったドストライクです！更新ファイトです！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
