□37.カルセドニー ページ38
────……
頭に残る壊理の不安そうな瞳。
…あの頃と同じような色をしていた。
私が離れていくことの不安や恐怖…？
この前私が彼女を突き放したせい？それとも私が治崎さんに置いていかれた時のせい？
…いや、もっと前かも。
原因は心当たりがありすぎて分からないや。
病室のベッドの奥にある窓際の椅子に座った私は、さっき看護師さんが持ってきてくれた睡眠薬を飲む。
自分の力で寝れない上に食欲もあまり無いし…、正直身体の面では私の方が重症かもしれない。
ため息を零し、窓から覗く月を見上げた。
…本当にこのまま壊理と一緒に居てもいいのかな。
いや、いつか離れていってしまうのかもしれないけれど。
今はもう少しだけ、彼女に寄り添わせて欲しい。
·
『文化祭、私も行くんですか？』
「ああ、緑谷から聞いてなかったのか」
某日、可愛らしい服に身を包んだ壊理を連れた相澤さんが病室にやって来た。
なにやら私と壊理を文化祭に招待してくれるとかなんとか。
『でも私、学校とかここ2年行ってないし…』
正直、私には学校というものに良い思い出がひとつも無い。
ぼそぼそと下を向く私に、相澤さんは「だから慣れるために今日見学に行くんだ」と淡々と述べる。
『…へ？』
「もう壊理ちゃんは準備できてる。悪いがお前の分まで服を買いに行く余裕が無くてな、とりあえず例の制服に着替えてくれ」
『今日行くんですか…！？』
唐突すぎて頭が追いつかない。
文化祭に行かせてもらえるなんてありがたいけど、正直怖いし。しかも天下の雄英…強固性持ちのヒーロー志望がいっぱい…とか。
「壊理ちゃんがAも一緒に行きたいと」
『………行きます』
壊理がそう言うなら仕方ない。
ここの病室にやって来た時からずっとハンガーにかけられていた制服を手に取れば、相澤さんが「外で待ってる」と壊理と共に部屋を出た。
『……久々』
もう何年も着ているセーラー服。
ボロボロとは言わずとも、すっかり柔らかくてクタクタになってしまってる。
慣れた手つきでリボンを結んで、…ポケットに入っていた赤いピンで髪の毛の横を留めた。
『………治崎さん』
───この赤いピン留めに触れると、このセーラー服を見ると、やっぱり思い出すのは治崎さんの冷たい瞳だった。
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ゆきんこ - 治崎廻さんが私の一番好きなキャラクターなのですが、夢小説がなかなか無くて自給自足しなきゃなぁ、と思っていたところ、この作品に出会いました。この作品が大好きです！続きもすごく気になります。更新頑張ってください。応援しています！ (2020年9月22日 14時) (
レス) id: 622aa4e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
碧佳 - え、めっっっっっっっちゃ好きです!!!すんごい続き気になる〜！更新頑張ってください！ (2020年3月3日 12時) (レス) id: f33055e332 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！ (2020年2月17日 0時) (レス) id: 9e63868de4 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - めちゃくちゃ好きですこの作品！めっちゃうちの読みたかったドストライクです！更新ファイトです！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
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