■33. ページ34
·
───僕と、同じだ。
こうして自分以外の無個性の人間に出会うなんてそうそうない。ましてやそれが、死穢八斎會で匿われていたAさんだなんて思わなかった。
“わかんないでしょ、デクさんには”
────分かるよ。
彼女がどんな壮絶な日常を送ってたかは分からないけれど。
今の僕が何を言ったって彼女には届きやしない。
「…じゃあどうして、」
『…？』
「どうしてそんな悲しい顔で笑うんだよ…！」
出会った時から変わってない。
自我を押し殺すような表情。ずっと…自分に言い聞かせるように、笑って誤魔化しているようにしか見えてならなかった。
『そんなこと、』
「あるから言ってるんだよ。僕は君が何を言おうと笑ったりなんかしないから、だから、」
───本音を押し殺さなくたっていいんだ。
力強くそう言うと、Aさんの瞳がはっと見開かれる。
「君が無個性でも、八斎戒にいた人間でも、僕はAさんが優しい人だって知ってる」
『私は、優しくなんか…』
…零れるのは、またもや卑下するような言葉。
そうなるのも…しょうが、無いか。
「Aさんは、もう壊理ちゃんに会いたくないわけじゃないんだよね？」
『…そりゃ、もちろん、』
「それならよかった。…あのねAさん。会う理由が無くたっていいんだよ別に」
必要があればそうする。逆に無ければしない。
そんな環境で過ごしてきたAさんにとって、今のこの状況も知り得ないことなんだろう。
「壊理ちゃんは君に会いたがってる。会うことに論理的な思考は必要ないんだ」
『────っ、』
「もっと自分のやりたいことやったっていいんだよ。もうAさんは自由なんだから」
ひとりぼっちだった彼女に手を差し伸べたのは治崎だった。じゃあ治崎がいなくなった今、ひとりぼっちを選ぼうとしている彼女に手を差し伸べるのは、
────僕らヒーローだ。
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ゆきんこ - 治崎廻さんが私の一番好きなキャラクターなのですが、夢小説がなかなか無くて自給自足しなきゃなぁ、と思っていたところ、この作品に出会いました。この作品が大好きです！続きもすごく気になります。更新頑張ってください。応援しています！ (2020年9月22日 14時) (
レス) id: 622aa4e7f6 (このIDを非表示/違反報告)
碧佳 - え、めっっっっっっっちゃ好きです!!!すんごい続き気になる〜！更新頑張ってください！ (2020年3月3日 12時) (レス) id: f33055e332 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - ありささん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！ (2020年2月17日 0時) (レス) id: 9e63868de4 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - めちゃくちゃ好きですこの作品！めっちゃうちの読みたかったドストライクです！更新ファイトです！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)
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