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□21.クォーツ ページ22

ガラリと開いた壊理の病室。
相澤さんと担当の看護師さんがなにやらアイコンタクトを取ると、今度は私に視線が向けられた。

私は慎重に病室に足を踏み入れる。




『────壊理』



恐る恐る声をかけると、小さな山になっていた布団がガバッと剥がれた。

大きな赤い瞳が月の光に照らされてゆらりと揺れて私を捉える。



「…A…っ!」



布団を抜け出した彼女が駆け寄ってくるから、私は彼女の視線に合わせるようにその場に膝をついた。

ぽすん、とぶつかった私の首に手を回した壊理はぐすんと鼻を鳴らして泣く。




「っ…A、…わたし、ごめ───…」

『どうして謝るの?』



必死に言葉を紡ぐ彼女に、私はやんわりと優しく頭を撫でてあげる。




『壊理は何も悪くないよ。謝るのは私の方だから』

「なん、で…っ」

『…いっぱい苦しい思いさせて、ごめんね』

「ちがっ、Aはなにも…」

『何もしなかった』



そう、私は何もしてあげなかった。

壊理の言葉を遮った私は、ごくりと唾を飲み込む。


こうやって私は保護されているけれど、死穢八斎會に居た人のうちの1人。

人を殺していなくても、治崎さんの言いなりだったことは変わらない。


まあ、もうその死穢八斎會は無いんだけどさ。



『だから、もう、』




私たちはこれで最後だよ。

顔を上げた壊理の潤んだ瞳と視線が絡んで、思わず言葉に詰まった。


…そんな顔されたら、




『────っ、』



ぎゅうっと胸が苦しくなる。
私が続いて言う言葉を察したのだろうか。

彼女が私の服を掴む力が少しだけ強まったのがわかった。




「っ、A…?」

『ごめんね、壊理…もうきっと今日が最後。バイバイしなくちゃ』

「やっ…!」



───あの時、壊理の伸ばそうとした手は私に救けを求める手というよりは、私を救けようとする手だった。

私を置いていきたくないと言わんばかりな。


治崎さんが残していた“生きていれば”の言葉が原因なのか、はたまたその前に殺されそうになっていたことが原因なのか。

それは分からないけど、




『最後の最後まで何もしてあげられなくてごめんね』



壊理が生きていくこの先、きっと私は彼女の重荷になってしまうから…今ここで区切りをつけよう。

□22.スギライト→←□20.レピドライト



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設定キーワード:僕のヒーローアカデミア , ヒロアカ , 治崎廻   
作品ジャンル:アニメ
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碧佳 - え、めっっっっっっっちゃ好きです!!!すんごい続き気になる〜!更新頑張ってください! (3月3日 12時) (レス) id: f33055e332 (このIDを非表示/違反報告)
pico(プロフ) - ありささん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しい限りです! (2月17日 0時) (レス) id: 9e63868de4 (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - めちゃくちゃ好きですこの作品!めっちゃうちの読みたかったドストライクです!更新ファイトです! (2月16日 22時) (レス) id: 2c7a607a36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pico | 作成日時:2020年2月14日 19時

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